第11話◆ ふるさと納税編 2000円でA5和牛を買う方法


 毎度毎度、うさん臭いタイトルで恐縮です。

 ですが今回は本当に看板に偽りなし。本当にA5和牛が2000円で買えるような制度が日本にはあるんです。


 前回寄付金について解説しましたが、これに関連して『ふるさと納税』というものがあります。最近はニュースにもなったりするので単語を聞いたことはあると思います。

 まず最初に申し上げておきたいのですが、もしこれを読んでいるのが12月であり、今年の収入(正確には所得)がそれなりにあり、そしてまだ『ふるさと納税』のことを知らないようでしたら、どんなに面倒でも以下を読んで頂いた方がいいと思います。かなりの損をする可能性がありますので!


 ではふるさと納税とは一体どんなものか。

 幸い、もの凄い極端な(それでいて大体合ってる)話をすれば一行でまとまります。


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・ふるさと納税とは、自己負担額2000円で全国の特産品を買える制度。

(注:ただしどれだけ買えるかは所得に依存します)


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 詐欺臭ささえ感じる説明ですが、本当にホントのれっきとした国の制度です。


 特に、制度としてはずいぶん前からあるにはあったんですが、ここ最近はクレジットカードでウェブサイト上から簡単に決済できるようになったりするなど、利便性が格段に向上したことからより多くの人が使うようになりました。

 しっかりとシステムさえ把握すれば大変便利ですので、どうぞ知っていってください。。


 まず、ふるさと納税とは?

 もう少し詳しく解説すると、ようするに日本全国の自治体に寄付することで、ほぼ寄付金と同額の税金を控除した上、お礼としてその自治体の特産物をもらうことができるという制度です。


 もう少し言い換えると、今住んでいる場所に納めている住民税の一部を、他の自治体へ納めることで、お礼として特産物を送ってもらうようなものだと思ってください。

(実際の計算は非常に回りくどいんですが、大体こんなイメージでいいらしいです)


 この『自治体への寄付』というのがポイントです。

 すごい極端な話、赤十字への寄付なら寄付金に。

 自治体への寄付なら『ふるさと納税』になると考えて構わないらしいです。

(確定申告での処理は必要にはなりますが)


 とにかく具体的な話をしましょう。


 年収300万、経費・控除が100万として、新宿区に在住していたとします。

 住民税を10%として、本来なら新宿区に払う住民税は(300万-100万)×10%=20万です。


 そこで5万円をたとえば熊本県に『ふるさと納税』したとします。

 すると、負担する金額は当然こうなります。


・新宿区への住民税20万+熊本県への寄付金5万


 この時点では5万円余計に払ってるわけですね。

 重要なのはこのあとです。まず5万を熊本県に寄付したお礼として、5万という額に応じた特産品を熊本県からもらうことができます。


 さらに、寄付した金額5万のうち4万8000円は様々な形で控除されるため、実際に負担する額はたった2000円で済むんです。


・新宿区への住民税20万+熊本県への寄付金5万


↑この25万の自己負担額が、確定申告して控除を受けることで


・住民税20万+自己負担2000円


 つまり自己負担額は20万2000円となり、さらに5万相当のお礼の品をもらえるわけです。

(注:より正確に書くと、新宿区への住民税15万2000+寄付4万8000円+自己負担2000円)


 ややこしいんですが、結果的にあなたの負担額は2000円増えるだけです。

 そう、ここが最大のポイントです。なのでもう一度言いましょう。結果的にあなたは熊本県の特産物をもらえた上に、負担額は2000円増えるだけです!


 ようは新宿区に納める住民税のうち5万を、熊本県に回したお礼として特産物をもらってるわけです。(注:厳密には所得税を巻き込んでの大変ややこしい計算があるんですが)


 実際にどんなお礼の品がもらえるか、熊本県の例を抜粋してみました。


・くまもとの馬刺し

・くまもと黒毛和牛

・くまもとの赤牛

・くまもとの海産物

・くまもとのラーメンセット


 5万円寄付した場合、この5つがすべてお礼としてもらえます(馬刺しだけ5セットもらうとかでもOK)。しかも、三度言いますがあなたの負担額はあくまで2000円ポッキリ!


(注:負担額2000円で済むなら、5万じゃなくて10万とか20万とか寄付した方がいいんじゃない? と考えた方もいると思いますが、残念ながらそこは上限が設定されています)


 熊本県を例に出しましたが、もちろん他にもお礼のもらえる自治体はたくさんあります。


 どんなものがもらえるかも含め、専用サイトを見てもらうのが一番なんですが……。ここに特定のURLを書くと宣伝になりかねません。大変恐れ入りますが、『ふるさと納税』というキーワードで検索してみてください。


 するといくつか有名どころのサイトがすぐ出てきます。とりあえずどれでもいいので開いてみましょう。


 メニューがたくさん出てくると思いますが、どのサイトであっても『地域・金額で絞る』とか『お礼の品』といった項目があるはずです。それをクリックすると、全国各地の牛肉やら果物やら、各地のおいしそうな特産品がズラっと並ぶはずです。ただし、どれも2万円とか5万円とか結構な値段が記されていることと思います。


 これは別に販売価格ではありません。寄付金の額です。たとえば5万寄付すれば、合計5万までの特産品をもらうことができます。(1万×5個でもOKです)


 ただし! 前述しましたが、どの商品をどれぐらい自己負担2000円で買えるかは、あなたの年収から経費・控除を引いた『課税される所得金額』に依存します。


 具体的に書きましょう。

 年収300万、経費・控除が100万という状況だったとします。


 この場合、寄付額5万円までの商品が2000円の負担で買えるんです。

(注:正しく計算すると差異は出ると思いますが)

 もちろん1万の商品五つとか、2万+3万とかでも構いません。


 ですがもし5万円という金額を越えた買い物をしてしまうと、2000円以上の自己負担が発生してしまうんです。A5牛肉とメロンとお酒が自己負担2000円で買えるはずが、5000円以上かかってしまうこともあり得ます。こうなるとまったくおいしくありません。


 ここでふるさと納税においてもっとも重要なポイントが出てきます。


 すなわち、『自己負担額2000円で済むふるさと納税限度額』を知ること。


 これさえ把握していれば、ふるさと納税のサイトでショッピングし放題ということになります。A5牛肉にするか、海産物にするか、果物にするか、この辺探すのは本当に楽しいですよ……!


 ではこの限度額はどうやって出すのか?


 一つは、用意されたシミュレーターを使うことです。

『ふるさと納税』のサイトへいくと、必ず『シミュレーション』ページがあるはずです。

 そこへあなたの年収・控除等を入力しましょう。するとざっくりいくらまでの商品を買ったら2000円で済むかというのを教えてくれるはず。


 とはいえ、入力項目は結構多いですので面倒臭いかもしれません。

 もちろん、一応ざっくりとした計算式があるにはあります。


 負担額2000円で済むふるさと納税限度額=

 (課税所得×2%)÷(90%-所得税率)+2000円


 これはこれでちょっと複雑ですね。所得税の最低税率を5%とすれば、もうちょっと短縮できます。

 課税所得×2.3%+2000円


 課税所得というのは『年収から経費・控除を引いた額』です。

 つまり、ふるさと納税の限度額を出すもっとも簡単な計算方法は、あなたの課税所得×2.3%ということになります。ただやっぱり実際には復興税があったり、ローンがあったりで差異が生じますので、正確な額を出すならシミュレーターを使う方がいいと思います……。


 余談ながら、これまでに本エッセイで解説してきた数々の税金対策を実行していると、課税所得が減るので必然的にふるさと納税に使える金額は少なくなってしまいます。残念ですがその点だけは諦めましょう。それでも何万円分かは残るとは思いますが。


 仮に年収300万・経費控除が100万という状況だったとします。

 この場合、

(300万-100万)×2%÷(90%-10%)+2000=5万2000


 つまり寄付額5万2000円までの商品が2000円の負担で買えます。

(多分ちょっと差異が出ると思うんですが)


 余談ながら、極端に増やして年収1億・経費控除が0円という状況だったとします。

 その場合、

 1億×2%÷(90%-40%)=400万

 つまり5万円の牛肉を80セット買ったとして、負担分は2000円で済むことになります……!


 さて、これで『ふるさと納税に使える上限額』は分かりますが、まだもう2つ覚えておいた方がいいことがあります。


 ふるさと納税の重要なポイント②。ふるさと納税制度を利用する時期です。


 ふるさと納税というのは、年内に行わなければなりません。

 たとえば今2016年です。今年の年収が300万・経費+控除が100万あったとして、ふるさと納税で5万2000円までの商品が買えるのは2016年12月31日までです。


 これがあるややこしさを呼んでいます。

 だってほら、2016年の年収・経費・控除なんて2016年終わらないと分からないんです。それなのに2016年中にふるさと納税しないといけないわけですから!


 その上、みんながみんな2016年12月になったら慌ててふるさと納税するわけです。するとなにが起こるでしょう? 人気商品の品切れです。みんなが好きそうな牛肉セットなんて、半年待ちがザラということもありました。


 ではどうすればいいか?


 当たり前なんですが、商品の種類は山とありますので、他の特産品を捜すというのがまず一つ。


 それから対策の一つとしてお考えください。たとえば今は2016年6月。一年の半分が終わった、つまり年収の半分がどれぐらいかが分かるかもしれません。あるいは今後の予定から、どれぐらいの年収になるかもざっくり分かるかもしれません。


 ようするに今年の年収を早め、かつ「少なめに」計算して、早めになにかふるさと納税してしまうのも手なわけです。


(注:しかしそこは不安定が代名詞のフリーランス。予定していた収入が得られないこともありますので、年収を予測する際は充分気をつけましょう)



 そして最後にふるさと納税利用に当たり、もう一つ重要な点が。


 自治体に寄付した際にもらえる、領収書こと『寄付金受領証明書』の受け取りを忘れずに!


 これと確定申告の処理があって、初めて『自己負担2000円で特産品買い放題』状態となります。


 特に受領証の保管場所には気をつけましょう。なにせ自治体ごとに『寄付金受領証明書』の形式は違ってるので、数か月も経つとどういった書類が受領証だったかなんてまず思い出せません。保管した場所は忘れないように、そして受領証だとすぐ分かるようにしておきましょう!(体験談)


 また人気自治体の場合は『寄付金受領証明書』の到着が遅れる場合もありますし、手違いで届かないケースもあり得ます。


 もちろん届かない場合、自治体に請求すればすぐ送ってくれるのですが、請求する時期そのものが遅いと、確定申告の締め切りである3月15日に間に合わないという場合もあり得ます。しっかり管理しましょう。


 というわけで。


①・ふるさと納税で自己負担2000円で済む上限金額


②・ふるさと納税で寄付する時期


③・領収書(正確には『寄付金受領証明書』)を忘れずに受領し確定申告


 この三つをしっかり把握できていれば、ふるさと納税は大変楽しい制度となること請け合いです。年収が極端に少ない年、経費が極端に多い年は寄付できる上限金額が大きく減りはしますが、ほとんどの場合でやらないと損なので、是非ふるさと納税サイトだけでも見に行ってみてください。

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