第6話◆ 将来への備えと節税が同時にできる! 自営業・フリーランス向け退職金の話


 前回解説した、青色申告特別控除については、実はご存じの人は結構多いと思います。書類提出だけで65万という控除額が増えるのは凄まじい効果です。これほど誰にでも勧められる制度はそうありません。


 ただ、今回の主題である『フリーランス向け退職金』の話になると、途端に知らない人、あるいは興味を持たない人が多くなります。

 そりゃそうです、フリーランスなんて二年先だって怪しいのに、10年20年後のことなんて考えられないでしょうし。


 ですが、退職金制度というのはその辺よくできてまして。うまく使えば、かなりの節税効果を得ることができます


 日本のシステムとして、「将来に備えての積立とかをしてるなら、税金とか色々安くしてあげるよ」というのがあると前述しましたが、退職金がまさにその一つです。


 まとめましょう。


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・フリーランスにも、任意で入れる退職金制度があります。


・積み立てた退職金は、所得税・住民税の控除にできます。

(つまり最低15%の節税効果。年40万積み立てたとすれば、6万円の節税に)


・退職金は受け取るときに普通に税金がかかります。


・ただ、退職金を積み立てると、積み立てた年数×40万円分の『退職金控除』をもらうことができます。退職金を受け取る時に、この退職金控除額内であれば、税金を0円にすることができます。

(なお退職金を積み立てた年数が20年を越えると控除額はもっと増えます)


・退職金控除額を越えたとしても、退職金にかかる税金は通常の半分で済むので、間違いなく節税効果は高いです。


・退職金控除は、『積み立てた年数』で増えていくのであって、『積み立てた金額』は関係ありません。この関係上、毎月1000円でいいので長期にわたって退職金を積み立てると、非常に大きな効果が生まれます。


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 終わりです。お疲れ様でした。

 以下、興味がありましたらどうぞ。


 まず前提として、会社員なら会社による退職金共済とかあると思いますが、我々作家などのフリーランスの場合、任意で退職金制度に加入しなければいけません。


 ただ非常にありがたいことに、退職金として積み立てたお金は、所得税・住民税の控除の対象になるという仕組みがあります。

(ただし国保の控除にはできません! ややこしい!

 ただ退職金を受け取るときには国保は課税されません)


 具体的に計算してみましょう。


 年に40万積み立てたとします。

(注:なぜ年40万かというと、退職金控除に収まるからです。詳しくは後述)

 節税効果を例によって所得税+住民税+国保で25%と言いたいところ・・・ですが!


 前述通り、退職金は国保の控除の対象にならないので、今回は15%で計算します。


 つまり、仮に一年で40万円を退職金として積み立てた場合、

 40万×15%=6万円分、所得税・住民税を安くできるわけですね。


 しかも積み立てた40万円は、退職金として後々全額返ってくるわけです。つまり、65歳を迎えるか、あるいは引退して無事退職金を受け取れれば、6万円分が本当に丸々オトクになるわけです。しかも退職金は基本的に運用されるので、利息まで付きます。


『40万積み立てて6万円の節税効果!』と書くと、『16万小遣いが増える青色申告特別控除』に比べ、ちょっとインパクトが薄れるかもしれません。


 でも、青色申告特別控除が異常なんです。あれは本当に『国がしっかりしてる子にあげるお小遣い』みたいなもんですから。

 ただ、『ほぼ元本保証の40万投資で年利最低15%保証』と考えてみれば、その効果は絶大です。投資話でそんなの紹介されたら詐欺を疑うレベル。


 ただし! 

 退職金は受け取るときに税金がかかります。


 ただその一方で!

 退職金には『退職金控除』という特別な控除が設定されており、『結果的に無税になることが多い』です。


 具体的には、『勤続年数×40万』。

 つまり10年勤続すれば、400万円分の退職金控除額ができるわけですね。

 これが重要なポイントです。


(注:余談ながら勤続年数が20年をこえた場合、さらにこの額は大きくなります

 正確には800万+(勤続年数-20)×70万とかになります)


 具体的に計算しましょう。


 毎年20万円を10年間、合計200万円積み立てたとします。。

 積み立てた額がいくらであっても、10年積み立てたので退職金控除は400万あります……というかできてます。


 つまり10年で退職金200万を積み立てた場合、退職金控除400万に収まるので、退職金にかかる所得税・住民税は0円になるんです。(国保も退職金にはかかりません)


 問題は年間50万を10年間積み立てたようなとき、つまり退職金控除額をこえた場合です。


 この場合、退職金(50万×10)-退職金控除(40万×10)=100万が課税対象になります。


 もっとも、退職金に対する課税は、通常の半分になります。つまりこの場合、100万が50万に。そこから所得税、住民税が引かれますので相当安くなることだけは間違いありません。

(今だと復興特別所得税がかかったりはしますが)


 ただし、もう一つ重要なことがあります。


 先ほどから出ている『勤続年数』。これは作家・フリーランスをやっていた年数などではなく、正確には『退職金を積み立てていた年数』だということを覚えておいてください。


 ここにもう一つの大きなポイントがあります。


 たとえば『退職金の積立』というのは、後で返してもらえるとはいえ、毎年自分で使えるお金が少なくなるのは間違いありません。そこで無理なく年間で2万円だけ積み立てていったとしましょう。


 その場合でも、退職金控除額は毎年40万ずつ増えていくんです!


 これを5年続けるとどうなるでしょうか。積み立てた退職金の額は10万円程度ですが、退職金控除額は5×40万=200万になってるわけです。


 これは状況によってはすごいことになります。というかここが今回の話のキモと言ってもいいでしょう。


 たとえば年間2万だけ退職金を積み立てている状態で、6年目から本がうまく売れたとかで収入が増えたとします。その場合、退職金の積立額を一気に80万ぐらいにしてしまえばいいんです。つまり、増えていた退職金控除額を埋めていく感じですね。


 するとその年は、積み立てた80万全額を控除にできるわけです。収入が増えてる年ですから所得税率も増えてることでしょう。節税効果は20%としても16万以上になり得ます! 16万と言えば例によってPS4とPSVRが(以下略)


 翌年以降、収入が戻ったら、また積立額を2万円とかに戻せばいいんです。とにかく年に1万円であろうと退職金の積立さえしていれば、毎年40万の控除額ができていくわけですから。


 では、そんな便利な退職金というのは、一体どうやって始めればいいのか?

 実はそうなると選択肢は非常に限られてしまいます。すなわち、『小規模企業共済』です。

(外にも『個人型確定拠出年金』というのもあるんですが、月々の最低掛金、受け取れる年齢、中途解約の有無等を考えると、『小規模企業共済』よりはオススメし辛いんですよね……)


 というわけで次回は小規模企業共済のお話です。

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