第42話 ураaaaaaaa

後輩「先輩、映画とか結構観る人ですか?」


男「んー…まあ人並みなんじゃないかな。月一くらいでレンタルして、妹と一緒に観る感じ」


後輩「どうやって観るかは聞いていません」


男「おおう」


後輩「じゃあ、露兵がウラーって言いながら突撃するシーンとか頭に浮かびます?」


男「ああ、戦争モノとか観てるとたまにあるよね」


後輩「あのウラーと、運動会で聞く『フレーっ、フレーっ、あ・か・ぐ・み!』のフレーって語源が同じらしいんですよ」


男「へー! あ、言われてみればニュアンスは似ているかも」


後輩「つまり運動会のあれは『突撃ー!』って言いながら同胞を煽動している図なのです」


男「ほのぼのした日常の風景が一気に殺伐とした戦場に…」


後輩「百万人倒せば英雄になれます」


男「それ違う国だ」


後輩「運動会って、熱くなれる人とそうでない人との温度差がけっこう激しいですよねえ。私はあんまり白熱できませんでした」


男「あー、分かる分かる。なんか置いてけぼり食らっちゃうよね。…あれ? 後輩ちゃん、体育得意じゃなかったっけ」


後輩「得意イコール好きというわけではないのですよ」


男「ああ、それもそうか」


後輩「先輩のことは得意ではないですけど好きです」


男「隙あらば好きって言ってくるのやめてよ、照れちゃ…う…」


後輩「…………」


男「……」


後輩「……そんな大寒波みたいな駄洒落を言う人はシベリア送りに……」


男「ぐ、偶然だ! まったく意識していなかった!」


後輩「百年の恋も冷めるとはまさにこのこと……」


男「許してくれえええええ」

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