6 ドトールの高校生

 「ドトール(喫茶店)で高校生が勉強をしている」ということに関するやや批判的な意見がmixiに書き込まれていました。「長時間勉強されると他の人が利用できなくて迷惑だ」そんな内容で、イライラしている雰囲気が読み取れました。

 デスクワークをする人全般ということではなく、高校生に対象を絞っているところが考えさせられるところだと思います。

 これに対していろいろと意見や感想の書き込みがありました。「日本の将来を背負って立つ高校生がよく勉強していて偉い。もっとやって欲しい。大歓迎」などという意見は当然のことかもしれませんが一つもなく、「親の金で来ているのだろうか。長時間いられると他の客が迷惑だ」という否定的な意見と「大人が本を読む、書類を書くなどの仕事をするのとどう違うのか。別にいいじゃないか」というやや好意的ないしは中立的な意見の両方がありました。

 たまに学校の仕事が早く終わると、時々家に帰る前にドトールに行って本を読んだり授業の予習をしたりします。だいたい6時くらいに行くのですが確かに制服を来た高校生をよく見ます。少し注目していると、だいたい7時か8時くらいには帰っていきます。おそらく学校帰りに来て夕食前には帰るのでしょう。高校生の滞在時間は、長くても4時くらいから7時か8時くらいの3~4時間程度だろうと思いました。

 他の人たちの様子もなんとなく気にしていたのですが、高校生よりももっと長く滞在している人もけっこういそうだと思います。

 例えば、競馬新聞を見ながら閉店近くまでいるお爺さんとか、パソコンを持ち込んで長時間仕事らしきことをしているビジネスマンらしき人、等々です。自分も本を読んだり資料を見たりしてのんびりしているので、たぶん高校生より長時間いることが多かいかもしれません。

 それに高校生はおとなしく勉強していたけど、店内で携帯電話を使って話し込んでいる若者とか大声でおしゃべりをするおばさんの団体などもいました。

 私が一番気になっるのは、一人が長期間一方的にしゃべり続けもう一人が「うんうんうんうんうん、うんうんうんうんうんうん」と「うん」といううなずきを犬の鳴き声のようなリズムで立て続けに繰り返す二人組のおばさんコンビです。「よくあんなに長時間しゃべることがあるなあ」「あれだけ長時間しゃべるのをおんなじうなずき声を繰り返しながらずっと聞き続けられるというのも一つの能力だなあ」と感心しています。

 以前はああいううなずき方をする人はいなかったような気がするのですが、日本人女性の会話の仕方が変わったのでしょうか?

 高校生のことに戻りますが、「高校生の滞在時間が、学校が終わってから夕食までである」というのはどこでも同じようなものだと思います。学校が終わる時間は日本全国大体同じだから、だいたい高校生のいる時間帯というのはどこに行っても似たようなものだと思います。

 では、そんなに長時間というわけでもないのになぜ高校生が特に問題視されるのでしょうか。

 私は最初不思議に思っていたのですが、そこはやはり従来型の社会通念と言うのでしょうか、「見慣れていることなのかどうか」というのが大きいのだと思うようになりました。

 以前はドトールなどの喫茶店で勉強する高校生などはいなかったので、客観的に見た迷惑の度合いからすると他にもっと迷惑な人がいそうなのに、どうしても高校生がいるという事実が新奇で目についてしまうことなのでしょう。

 最初に紹介したmixiに投稿を行った人も若干の違和感なり憤りなりを感じていて、自分と同じような意見が書き込まれることを期待して否定的な意見を投稿したのだと思います。書き込みの中にも否定的な意見がある程度の割合で見られたのですが、はっきりと他のお客さんよりも長時間いて迷惑しているということを断定している書き込みはなかったと思います。否定的な意見がけっこうある原因は、「以前にはなかったことだから」という部分が大きいように思われました。

 変化に弱い人というのは、どんな場面でもたいてい一定の割合で必ずいて、そういう人たちは、見慣れないことに対してイライラせずにはいられないようだ。ということがこの事例からも読み取れそうです。

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