児童文学や子供向けの雑誌を読む

 これは、「自分の心を育て直す」という言い方がよくあてはまるやり方です。

 楽しく簡単にできるやり方で、カウンセラーについたり過去のつらかったことなどを思い出したりしないでもできます。

 児童文学は子供だけが読むためだけのための文学ではなく、子供の視点で書かれた文学です。

 大人が読むと、普段の日常生活では気づくことができないいろいろな視点を持つことができ、気持ちが豊かになります。

 また、大人向きの文学よりは、分量が少なく短時間で読めるし、難しくないので忙しい人でも読みやすい。というのも利点です。 

 ユング派心理学者の故河合隼雄さんは『ヒルベルという子がいた』という本を推薦しています。これは、どちらかと言えばカウンセラー向けという感じの本なので、「自分で自分のカウンセラーになる」という路線をとる人に特にお薦めです。1970年代にドイツの人が書いた比較的新しい本で、医者や心理学者も登場します。施設の話で、ほとんど毎晩洋服だんすにもぐりこんで歌を歌ったりする風変わりな男の子ヒルベルが主人公。ところどころ絵が入っていて100ページくらいの本です。 

 私は、『ねずみ女房』と『思い出のマーニー』が大人になってから好きになった本で、よく読んでいました。それからケストナーの『飛ぶ教室』もいいと思います。

 『ねずみ女房』は、家に住みついているめすねずみと人間に捕えられてかごの中に入れられた鳩はとの交流を描いた物語です。

 「飛ぶって、どんなこと?」とめすねずみが鳩に尋ね、それに対して鳩がつばさを広げると、それがかごの格子にぶつかってしまい、めすねずみは、それを見て、不思議に心を動かされる。という、なかなかいい場面が出てきます。

 絵が綺麗で、話もシンプルないいい本です。絵がたくさん入っていて大きな字で書いてあって50ページくらいなのですぐ読めます。

 『思い出のマーニー』は、岩波少年文庫の本で小学校5・6年以上向けとなっています。イギリス人が書いた話で、字は大きめですが、2冊とも200ページ以上あり、それなりに読みでがあります。海辺の村の老夫婦にあずけられた少女アンナが、入江にある古い屋敷で不思議な少女マーニーと出合うミステリータッチの話です。 

 『飛ぶ教室』は、ナチスが政権を獲った頃のドイツで書かれたドイツの学校の寮生活の話です。禁煙専用の客車を買い取って自分の菜園に置き、その中に住んでいる禁煙さんというニックネームの人が出てきます。職業が飲食店のピアノ弾きという世捨て人のような人で、生徒たちは何かあるとその人のところに相談に行きます。

 物語などの単行本ではなく、雑誌もいいと思います。『ベビーブック』『めばえ』『幼稚園』『小学1年生』といった小学館のものが定番です。よく町の小さな本屋の前に並んでいるので簡単に買えます。

 『ベビーブック』を半年くらい毎月読んで、次に『めばえ』に移りという感じで2~3年くらいかけて気長続けにていくのがお薦めだと思います。 

 このやり方は、特に普通の人よりも感情が心の中に広がりにくいタイプの人(「回避型愛着障害」と言う)に特に向いています。本屋で手に取って、自分の読みたいものを順番に買って読んでいくだけなので、とても簡単にできます。

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