ピグマリオン効果に配慮する

 ピグマリオン効果というのは、教育心理学でよく出てくる用語です。ギリシア神話に、見つめることで彫刻を生きている本物の人間に変えてしまった神さまがいて、その神さまの名前をピグマリオンと言います。そこから採った命名で、一言で言えば「期待されている方が人は伸びる」という効果のことです。これは、いろいろな実験によって確かめられていて、教育関係の仕事をしている人、子どもがいる人や経営者・管理職などにとって重要な考え方です。

 人にかかわり、人を育てる立場の人にとって一番大切な能力は、本人の可能性を信じる能力だと思います。

  相手に対する敬意を持ち、その人の可能性を信じ、その長所に目を注いて向かい合う人は、それによって良い結果が生まれやすい。「必ずよくなる」「必ず乗り越えられる」と信じてかかわっている人は、実際、良い結果を生み出しやすい。という傾向があります。

 「ピグマリオン効果」というのは、こういう「期待することによって相手も期待に答えるようになる」という現象のことです。逆に、「あいつはどうせ駄目だろう」と思っていると実際本当に駄目な結果が出てしまうことが多く、イライラがたまります。

 教育的な立場で大きな成果を上げている人は、悪い先入観を持たないで白紙に近い状態でその人に接することができます。例えば、プロ野球の野村元楽天監督の書いた本を読むと「あの選手は、聞いていた話とは違ってこんないいところがあった」という記述がよく出てきます。

 「本人の可能性を信じる」ということを口先だけでなく本当に実行するのは、もちろん難しいことです。が、生まれつき備わっていたり欠けていたりする能力ではありません。心がけることでできることで、実際に成果が上げられることでもあります。 

 最初から期待していなく「やっぱり駄目だった」でも、「期待してたけど駄目だった」でも、イライラすることには変わりません。それならば、うまく行く可能性が高い「期待する」を選んだ方が得です。

 野村元監督が好きな人も嫌いな人もそんな人は知らないという人も、この部分だけは真似をしてやってみてはいかがでしょうか。

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