3 レコーディング精神安定法 ―本格的な怒りとじっくり取り組む方法―   

 

 この章では、実行するのはそれなりに面倒だけど、やってみると意外と効果的な方法を書きます。

 必要な人にとっては非常に役に立つと思いますし、また、最初は面倒でもやってみると「自分の考え方とか感性はこうなんだ」とわかって面白くなる場合もあります。

 この章の内容は、一言で言えば「自分が自分のカウンセラーになる」方法です。

 この章に出てくることを、「記録したり、いろいろ考えてみたりで面倒くさい」「そんな面倒くさいことをやる必要があるのか」と思う人もいるかもしれません。でも、自分自身について怒りなどの感情のあり方という視点から考えることで、いろいろとわかってくることもあるでしょう。また、不要な怒りを減らすことで、建設的なことに時間やエネルギーを使うことができるようになる場合もあるでしょう。

 まず、全体の流れを簡単に見てみます。

 第2章に書いた応急手当の段階を除くと、まず、レコーディングという、怒りを記録する段階があります。

 記録することで、どんな怒りなのかをできるだけ特定します。 

 それから、書いた内容についてあれやこれや考えてみます。一つの見方にこだわらないでできるだけいろいろな見方をするのがコツです。

 やや硬い表現だと分析・リフレーミングと呼ばれています。

 分析というのは、記録された怒りとか怒りなどが生まれた仕組み等について考えてみることです。そして、それに対して別の考え方はできないか、別の枠組みから見ることができないか考えていくのがリフレーミングです。

 リフレーミングは、うつ病などの治療に使われることもある方法ですが、「特に病名がつくわけではないが、困った感情に悩まされる」という人にも役に立ちます。

 一般的な流れは次の通りです。


 レコーディング→分析→リフレーミング 


 これはあくまでも定石通り丁寧に実施した時の流れです。

 必ずこの順番で行うわけではありません。人によって、記録するタイミングが後になったり、あるいは記録することと並行して分析やリフレ―ミングを行う場合もあるでしょう。確かに、分析やリフレーミングは、頭の中でやるよりも記録しながらやった方が効果が上がる場合もあります。

 また、人によっては特に記録することはしないで、分析とかフォーカシングだけ行うといったことも考えられます。

 それと、記録する代わりに仲のいい人に話すという場合もあります。特に、パートナーか親友などに聞き上手な人がいる場合は、話をして聞いてもらうのが効果的です。

 それぞれの事例や状況、その時の気分などに合わせて、一番よさそうな方法で対応していくことが大切です。

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