困った時はボケる

 キレる時というのは、何らかの意味で困った時というのが一般的です。

 キレることにより事態が好転するのであれば、それはどんどんやるべきですが、キレることにより人間関係を壊すなどいろいろとまずいことが起こるので、キレないための工夫が必要になります。

 石原慎太郎元都知事や鈴木宗男元衆議院議員みたいに、キレるのがその人独特の処世術のようになっている人もいますが、それは例外的な存在感を持った人であり、ちゃんとした権力的基盤があるからできることでもあると思います。

 困った時に、キレる代わりにどうすればいいのか。

 逃げてしまうとか、うまく自分の中で処理してしまうという方法もありますが、それ以外に「ボケる」という方法もあります。

 資産家で90代後半まで長生きした私の祖母は、「困った時はボケるのが一番」ということを生前語っていました。

 「税務署に行って何か指摘された時にどうするか」といった話をしている時の発言です。

 その時にキレてしまっては、相手の印象を悪くするし、何か隠しているのではないかと疑われる。それよりも、ボケたふりをしてその場は何も言い訳等を行わず、家に帰ってきて専門家や信頼できそうな人と相談して対応策を考える。

 という趣旨でした。

 「なるほど、年をとっても資産を守って暮らしている人は知恵がある」と感心した覚えがあります。

 この場合の「ボケる」というのはもちろん相手に対してボケているのですが、自分の対しても「私はボケてしまった」と自己暗示をかけてキレるのを防いでいる意味もあります。

 時と場合にもよるかもしれませんが、「キレる代わりにボケる」というのもなかなか味のあるうまい処世術だと思います。

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