ドッグタグについて

 今回はドッグタグについて解説します。

 国や所属する軍種によって形状や刻印内容等が様々なので、今回はアメリカ陸軍の現行の物を中心に解説します。


 まずドッグタグの形状ですが、コインのような円盤型や小判型が大半ですね。

 材質はアメリカ軍に限らず大体アルミやステンレススチールです。革製の物もあるらしいですが。

 これに何行かに分けて、名前や個人を識別できる数字、血液型や宗教を刻印します。


 ドッグタグは2枚組になっているか、1枚の物なら上下で分割出来たりとにかく2つに分けられるようになっています。

 それぞれ同じ内容を刻印し、片方は戦死した際に仲間が持ち帰り、戦死報告に使います。

 もし戦場でドッグタグが一つしかない仲間がいたら、その人の戦士報告は既に済んでいるってことですね。まあ片方だけ綺麗に吹き飛ばされた可能性もありますが、両方ならともかく片方だけはそんなの稀でしょうしね。

 

 それでは、ここからはアメリカ陸軍の現行型の物についての解説です。

 形状は、みんながよく知ってる小判型です。

 

 1行目に刻印するのは、『姓』です。


 2行目は、『ファーストネーム(名前)』を全てと『ミドルネームの頭文字』だけ。

 

 3行目は、社会保障番号です。


 4行目は、血液型と性別です。

 血液型は単にABOとかではなく、それに足してRh+なら『POS』、Rh−なら『NEG』とそこまで書いて、性別は男ならMaleの『M』、女ならFemaleの『F』と刻印します。


 5行目は、宗教です。

 略号での表示で、『C』がカトリック、『P』がプロテスタント、『J』がユダヤ教、『B』が仏教、不明の場合が『NP』で、『NR』が新興宗教だそうです。


 現行の物はこんな感じですね。

 周りをゴムで囲ってジャラジャラ音が出ないようにするサイレンサーとかもありますよ。

 

 ちょっと仕様が変わるので、1949年ごろのアメリカ陸軍の物も紹介しましょう。

 形状自体は小判型ですが、端の方に切り欠きがあります。


 1行目に『姓』、『名』、『ミドルネームのイニシャル』の順で刻印。


 2行目に兵役分類と個人識別番号です。

 兵役分類は、『AR』が正規兵、『ER』が予備役兵、『NG』が州兵、『US』が召集兵、『O』が将校です。

 例えば州兵の場合、NG123456みたいな感じで打刻されます。


 3行目は、破傷風予防接種年と血液型ですね。

 現行版と違って血液型のRhの分類の表記は無いです。


 4行目は空白。


 5行目に宗教です。

 いつから変わったのか定かではないのですが、ユダヤ教の表記が古いものは現行の『J』ではなく『H』になっています。この変更は1949年からなのかそうでないのかよくわからないため、ちょっといつからかは断言できないです申し訳ありません。


 こんなところですね。これより以前の物だと、近親者の名前や住所等を打刻したものもあるようです。

 最後に、見やすい?ように各種略号をまとめて書いておきます。



【宗教】


『C』 Catholic (カトリック)


『P』 Protestant (プロテスタント)


『H』 Hebraist(ユダヤ教:旧)


『J』 Judaist(ユダヤ教:新)


『B』 Buddhist(仏教)


『NP』 No Specific Religious Preference(不明、無宗教)

 

『NR』 New Religion(新興宗教)



【兵役分類】


『AR』 正規兵


『ER』 予備役兵


『NG』 州兵


『US』 召集兵


『O』 将校

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