第67話 俺の屍を越えていけ

ムーミンパパが、ヨットか何かで何処かに行きたいと言い出す。ムーミンママがそれをたしなめる話が確かあったと思う。ここでムーミンパパは、夫でも父でもなく、少年か青年のように描かれている。


息子のムーミンはこれを見てどう思うのか。シンパシーを感じるか、反発するのか。私は父親がいないからわからないが、恐らく前者だろうと推測する。


大人は子供の延長線上にいる。実の所、そう遠い場所にはいない。定規のような目盛りがあって、大人は子供より少し先の目盛りに立っているだけだ。些細なきっかけで、立場が逆転しうる。


ヨットに乗るなとは言わないが、成熟した大人の姿って何だっけと思うことがある。


越えるべき壁がない空虚感というか。父さんは何もわかっちゃいないということすら言えなくなって、未熟な言葉を他人にぶつけるだけの人が増えた。


SNSがパパになることはないだろう。あれはパパのヨットと同じ蜃気楼である。


俺の屍を越えていけと言えるようになりたい。


でもプリキュア観るのやめられんねえだわ。今でもスタート地点近くにいるのかもしれないね。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る