片腕を失った少女アイシャと、片目を失った黒竜のジーヴ。ふたりが出会い、それぞれが探し求めるもののために共に旅をする物語です。
尊大に振る舞うジーヴに、いつか見返してやると意地を張るアイシャ。喧嘩するほどなんとやらと言いますが、素直じゃないふたりのやりとりが楽しく、ニヤニヤしてしまう場面も。
物語は最後までどうなるのかわからず、ハラハラドキドキの連続でした。パズルのピースが合わさっていくように、謎がゆっくりと解けていく面白さもあります。タグにも書かれていますが、ハッピーエンドに辿り着いた時は晴れやかな読後感を味わえました。
ふたりの旅路をもっと見ていたかったと思える物語。
竜と旅をしてみたい方、旅するファンタジーが好きな方にオススメしたい作品です。
ああ、このふたりのやり取りが好きだ!
「竜は人助けはしない」と、気高き竜の誇りを貫くジーヴ。
「あんたが言ったこと。後悔させてやる」と、息巻く少女・アイシャ。
竜は片目を失い、少女は片腕がない。だからお互いがお互いのないところを補うパートナー……なのだが、決して馴れ合ったりはしない。
でも、その反面、心のどこかで強く結ばれている。
互いに憎まれ口を叩きながらも離れたりはしない、このどこか腐れ縁の幼馴染みたいな心地よさがたまらない。
アイシャは生き別れた兄を探し、ジーヴは全滅してしまった同朋・黒竜の生き残りを探して旅をする。
物語はやがて世界を揺るがす陰謀へと繋がっていくのだが、正直なところ、もっといろんなところを旅して欲しかったとふたりには不謹慎な事を考えるぐらい、彼らのやりとりが楽しかった。
多分このふたりとなら、自分は何十万、何百万の文字の大海でも一緒に渡っていける(蛇足だが、それぐらい文章のクオリティも高い)。
物語が幕を閉じた後の外伝も文句なしに最高だった!