第2話 噂

 藤村浩平は、社内である噂を耳にした。なんでも、知識と教養を兼ね備えた令嬢が、この会社の近くに住んでいるらしい。由緒ある家の娘だったにも関わらず、両親の死によって今は祖母を助けて生活しているという。

(知識と教養を兼ね備えた女性か。紗知を思い出すなぁ。一度会ってみたいなぁ)

 彼の悪い癖だ。興味のある女性がいるとすぐに会ってみたくなるのだ。これで何度痛い目に遭ってきたかというのは、すっかり忘れているようだ。


 噂の真偽を確かめるため、浩平は仕事帰りに、噂の女性の家だという場所へ向かった。少し家からは離れているが、会社からだと車で10分程のところにある。周囲は住宅街のようだが、今は空き家が多いようだ。

「昔は栄えてたんだろうなぁ」

 しばらく歩くと、目的の家らしき家に着いた。噂に違わない古い家だ。そしてやはり、噂の女性はいないようだ。

(噂は噂ってことかな)


 浩平が帰ろうとしたとき、暗がりから女性が現れて古い家に入っていくのが見えた。

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