第237話 年金

金融庁が、年金の限界を認め自助を求める内容の指針を出した件で、昨日からネット上でもかなり話題になっている。

その多くは「自助するから年金制度を廃止しろ」「今まで払った分を全額返して欲しい」と言うものだ。


俺も、同じ意見だったと思う。

5年前までは。


健康だったとき、そして強気だった頃。

そもそも年金制度には何も期待していなかったし、自分の老後は自分である程度の面倒を見れるだけの貯蓄をし続ける予定でもいた。

もっとはっきり言うと、鬱で働けなくって、貯蓄が出来ないどころか貯金を切り崩していくだけの生活を何年も続けることになるなんて、まったく考えていなかった。


障害年金と言うものがある。

怪我や病気で働けなくなったときに受給できるものだ。

手続きはとんでもなく大変だし、大変な手続きをしても無事に受給資格を認められるかは判らない。

それでも、この制度で救われている人はいるし、今は不要でも後日この制度に助けられる日が来るかもしれない。


俺は、今はまだ年金受給者ではないけれど。

俺の今後と、今は健康でも働けなくなるほどの病気や怪我をしてしまうかも知れない誰かのことを考えると、年金制度の廃止を声高に提言する勇気はない。

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