第171話 子供が嫌いなわけじゃない

先日、ファンクラブにも入っているメタルバンドのライブに行ってきた。

普段はスタンディングの会場を使っているバンドだが、今回のツアーは珍しく全席指定のホールを使った。

着席したら、斜め前に子連れさんが居た。

3歳以上からチケットが必要で、未満は入場できないから、お子様は少なくとも3歳以上。

でも間違いなく小学生にはなっていない。

平たく言えば、今の俺が苦手とする年齢だった。


少し、凍りついた。

折角のライブも楽しめないかも知れないし、それどころか途中退席も視野に入れなくてはならない。


結果的に、そのお嬢さんは多少ぐずついたものの、概ね大人しくしていてくれた。

否、それどころか、英才教育を受けているようで、曲によっては合いの手を正確に入れたり、メロイックサインを理解していたりもして、見ていて微笑ましかった。


見ていて微笑ましかった、と言うのは、3時間強の長時間、彼女がライブに集中できるはずはなく、周りをきょろきょろしていたのだけど、目があった時に手を振ってみたり、メロイックサインを出してみたりすると、にこっと笑っていいリアクションを返してくる人懐っこい子だったので、ちょこちょこと構っていたのだ。


触れ合う機会がそうそうないから、扱い方は良く判らないが。

今は「駄々をこねる&テンションあがって燥いでいる声」が極端に苦手なだけで、「子供そのものが嫌い」なわけではないのだな、と自覚した。

実際、その小さなお嬢さんを怖いとは思わなかったし、むしろ可愛いと思った。


今は無理だが。

病気が治ったら、はしゃぐ声も可愛いと思うだろうか。


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