第139話 790円
時給ではない。
今日は給料日だった。
なので、仕事と一緒に、配送さんが給与袋を持ってきてくれた。
(今の仕事の賃金形態は現金手渡しなのだ)
その中身がタイトルである。
たったそれだけ、と思うかも知れないが、19日締めの月末払いで、13日から始めたから実質6日。
その6日間に、79冊の本にフィルムコートカバーをかけたのかーと思うと、ちょっとしみじみする。
正確には、その79冊が、どこかで(納品先は判っているが、そー言う意味ではなくて)誰かの役に立ちに行くんだ、と思うと感慨深いのだ。
職歴を振り返るならば、心をすり減らす内容のものが多かった。
それは、業務内容であったり、職場内の人間関係であったり、いろいろな種類のものがあるのだが、今の仕事は煩わしい人間関係に悩まされることもなく、他人様の目を気にせず自分のペースで出来るので、業務内容には後ろ暗いところがまったくないから、単純に、心をすり減らす要因がない。
あるとすれば、もっと早く&もっと綺麗にフィルムコート出来るようになりたい、コーティングした本を見て、まだまだ未熟だなぁと思うところくらいか。
昔から、働くのは嫌いだった。
それは多分、常に心に余計な負担がかかっていたせいなのだろうな、と、今、本を目の前にして思う。
ただ、鈍感&愚直で世間知らず、ついでに何の資格も持ってない、23,4歳の小娘が、簡単に手取りで軽く25万を超える月収を貰ってしまったら、そりゃその世界に沈むよね。
でも、今は違う。
出来ることなら、もっと早くに気がつけば良かったのだが、今にして、世の中には心をすり減らさなくても出来る仕事があることを知った。
この790円は、今後生きていく上で、特別な意味を持つだろう。
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