第132話 無職脱却
完全出来高制の内職ではあるのだが。
明日から、働くことになった。
実は内職はぼんやりと前から考えてはいた。
何しろこの2年と3か月、貯金を切り崩して生活していたので、毎月の引き落とし分くらいはせめて稼ぎたいトコロではあった。
とは言えど、内職も納品をしに出かけなければいけないものがほとんどで、配達&納品をしてくれる内職がなかったため、車は運転できないし、自転車も持ってないし、月に数回とは言え、かさばる荷物を抱えて外出(しかも家からどうやっても遠い上に地理が判らない)するのは困難だったため、求人広告を眺めるだけになっていた。
のだが、先日の地域密着情報誌に、配達&納品もやってくれる内職の求人があった。
内容は、「図書館や小中学校に納める本にフィルムカバーをかける」と言うもの。
1冊10円。
先日先方に連絡し、本日面接に行ってきた、その時間約2時間。
面接とはいっても、ほとんどが作業の技術指導で、採用そのものは1分もかからずに決まった。
「どう、やれそう?やってみる?」
「はい。」
「じゃあ明日からお願いね」
実にあっさりしたものだった。
その代り、フィルムカバーをかけるのにはちょっとコツが必要で、何と言うか・・・慣れるまでは数が稼げない感じがした。
また、ざっと計算してみたが、多分どんなに頑張っても引き落とし代とプラスちょっとくらいしか稼げそうにないので、生活の足しと言うよりは本当にお小遣い稼ぎだ。
それでも。
無職で毎日にメリハリがないよりよほど良い。
ゆるゆるとではあるが、そしてまたちょびっとでもあるが、社会復帰するのだなぁと思うと、ちょっと感慨深い。
しかも、明確に「(その必要があるから)役に立つ」仕事だ。
生命保険の仕事にしろ借金取りにしろ、健康食品メーカーの仕事にしろ、どこか仕事内容に心苦しさがあった。
それがない仕事は久しぶりだ、学校給食以来だろうか。
明日から頑張ろう。
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