第120話 はっぱをかけられる
昨日、出かけたかったので大きなショッピングモールに連れて行って貰った。
結果、人の出と子供の声にあてられて、ロクに見て回れずに帰ってきた。
そして、落ち込んだ。
今、俺が普通に外出できるところが極端に限られてしまっているのを見せつけられたような気がした。
この調子だと、ここ暫く行ってなくて、久しぶりに行きたいと思っていた大型遊園地なども無理だろう。
落ち込んでいたら、相方からはっぱをかけられた。
「何処にもいけないなんて言ってないで、じゃあ外出てみろよ」と。
「ウォークマンも鍵も携帯も要らない、ただ玄関から外に出るだけでいい、やってみろ」と。
ウォークマンなしで外に出るのは怖かった。
でも、相方の気迫も怖かった。
仕方なくて、俺は言われた通り、外に出た。
玄関から出ただけでマンションの敷地内だし、外に居たのは数分だったが、怖かった。
家に戻って、速攻でお手洗いに駆け込んで、吐いた。
「おかえり。出られたでしょ、外」
相方に言われた。
「僕がはっぱかけなかったら、誰もかけないからね、一緒にいるからこそ、僕はそういう役目をしてるの(意訳)」
とも。
確かに、サポートしてくれている人たちは大勢いるが、相方しかそう言うことを言う人はいない。
とはいえ、そんなこと言うのは1人で十分だとも思う。
全員に言われていたら、絶望したまま這い上がれなくなっているだろう。
俺は今は踏ん張りどころだと思っているし、実際俺なりに頑張っていはいるが、少なくともそこまで強くない。
正直な話、相方にはっぱをかけられるたびに、俺はまだ頑張りが足りないのか、と不安になってしまうのだ。
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