第76話 線路沿いに挑戦する

昨日まで連続4日間、出かけたり遊んだりと予定が詰まっていたので、今日は倒れるなと予想していた。

思った通り、午前中は倒れていた。

午後から起き出すも、ちゃんと動けるようになったのは夕方からだった。

想定内だ、と言うより、むしろ夕方から動けるようになったのは、あわよくば動けると良いなくらいに思っていたので、想像以上に回復していた。


折角動けるようになったので、雨の中外出してみた。

行先は、近所のショッピングモール。

別に目的があったわけではないが、軽く外出するにはちょうど良い場所にある。


ショッピングモールに行くまでに、近道をするなら線路沿いを歩く道がある。

多分その距離2~3分と言ったところだろう。


先日、頑張ったら電車に乗れた。

なので、線路沿いに挑戦してみた。

結果、足がすくんで動けなくなった。


雨の中、道端で立ちすくんでいたら、通りかかったパトカーが縁石に近づき止まり、助手席のおまわりさんに声をかけられた。

なんて答えたら良いのか判らず、「大丈夫です、何でもありません」とだけ返答し踵を返して戻ったので、完全に不審者だったかもしれないが、パトカーは追跡してこなかった。幸いだ。


戻ったとはいえ、折角外に出たのにそのまま帰るのは悔しかったので、結果としては別の道を通ってショッピングモールには行けた。

心臓がどきどきしていたので、中の喫茶店で一休みして、少し落ち着いてから帰ってきた。

帰りは、線路沿いに挑戦する気にすらならなかった。


仕事中の相方に、帰ってきてから電話した。


「今日がダメでもまた挑戦すれば良いじゃない」


挑戦しなければ失敗も出来ない、勿論成功だって出来ない。

今日はたまたま失敗しただけだと。

そして、気持ちを切り替えろと、相方は言った。


多分、それが正解なのだろう。

そう簡単にはいかないが。


とりあえず、今日は無理だった。

でも、以前は歩けた道だったのだから、またいつか、問題なく歩けるようになる日がくるまで、何度でも挑戦し続けよう。

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