第54話 電車の何が怖いのか

これは、実は正直俺にもさっぱり判らない。

ただ、発車音も怖いし、満員電車は見るだけでも怖いし、踏切の音も怖い。

電車が通る音も怖い。

車内でも、混んでいる車内は無理だ。

ここで言う混んでいる、の基準は、俺が乗った時に座れるかどうか、また立っている人が1車両に4~5人程度までならセーフ、それ以上は「混んでいる」電車だ。

ホームに人がたくさんいる、またホームに人がたくさん降りていく、これも怖い。

たくさんの基準は難しいのだが、学生の帰宅ラッシュ辺りからもう無理なので、時間的には16時頃からは混んでいるホームに該当する。


ホームの人云々はどちらと言えば人混みに該当するので一旦省くとして。

ひとつひとつを挙げていけばきりがないくらい、電車を構成するものは怖いのだが、じゃあなぜ怖いのかと問われると、それが判らないのだ。


怖くなったきっかけはある。

例えば罹患当初は第4話で挙げた事例があるし、最近で言うなら第29話のエピソードが起因する。


今、「考えても判らないことは考えなくていいんじゃない?」と相方に言われている。

だから、その件について、深く追求はしていない。

ここでもし、深く追求して、その原因が判ったら、あるいは一気に解消できるのかも知れないが、それをするにはまだ電車と言うものに対して、冷静な判断が出来る状態ではないのだ。


今も電車が通っている音がウォークマンを突破して聞こえてきた。

怖かった。

理由もなく(・・・としか言いようがないのだが)怖かった。


あまり「怖い」「苦手」と言い続けない方が良い、と相方には言われているが、怖いものは怖いのだ。

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