UNIZOM 〜蒼魂歌〜

作者 ∀zl (Azlと読んでもいいよ!)

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★★★ Excellent!!!

 ゾンビものが好きなので、自主企画「泣けるゾンビ作品が読みたい」から「ロシアが舞台」という点に惹かれて読み始めました。
 ロシアの美しき古都サンクト・ペテルブルクが高い鉄壁に覆われ、ゾンビに満ちた死の都市になる……そして廃墟で暮らす美しい12歳の少女と、ゾンビを片っ端から倒していく大男が出会い……ともうこの状況設定だけでワクワクしますね。
 軍の陰謀なども絡んでいるようですが、基本はオカルト寄りゾンビ。何と言っても主人公の少女に「魂」を見る力があります。青い焔と核で構成された魂には、ゾンビの種類ごとに様々な形状があり、中でもある特殊なものは……といった設定も楽しいですね。
 ゾンビは「ユニメモ」という形でまとめて読める章があるので、設定やゾンビが気になる方は、まずそこから読んでみてもいいかもしれません。本編展開の一部伏線にもなっています。文章に粗さはありますが、作者独特の文体がすでに出来上がっている感じなのも素敵です。
 オカルト系ゾンビなので、ちょっと不思議なアイテムも登場。終盤は巨大ゾンビモンスターなども出てきて、どんどん戦いは派手になっていきます。
 ジョゼフの「魂がない」理由はなぜか。魂があるはずのユニが「死んでいる」と――に言われるのはなぜか、そもそも彼女になぜあの不思議な能力が宿っているのか。ポゥの正体は?(非正規とはいえなぜ特殊機関員が殺人鬼を……) などなど多くの謎をはらんだまま突き進んでいくこのシリーズ。最新話「血塗れの看護師」と最新のユニメモまで読みましたが、再開と完結、お待ちしております!

★★★ Excellent!!!

極寒のサンクトペテルブルクを襲った彼の出来事から55日。
地の獄と化した廃街で、辺り一帯に生者は無く、亡者の巣食う只中で強かに生き続ける1人の少女……
悲惨な過去を背負いながらも、その静かな語りは清涼感をもって読者に不思議な居心地の良さを与えてくれます。
毒舌人形、感情の一部が欠落したような異質な人格を持ち合わせた少女は、その不完全さこそが逆にカリスマ的人気を博し得る素質を備えた非常に魅力的なキャラクターです。
単純にウケのいい属性を掻き集めたり無双の能力を与えたりすればカリスマが作れる訳ではないという良例ではないでしょうか。
彼女を取り巻くキャラクター達もそれぞれ立体的な人格設定がなされており、その深い味わいに強く心惹かれた方もきっと多いことでしょう。
肉屋、人喰魔女…やたらカッコ良さを詰め込んだ中二風の異名ではなく、このようなシンプルな二つ名が与えられていることも、少女を中心とした童話的魅力が増幅された異色を放つゾンビアクションを構成する1要素となっているように感じます。
そして言わずもがな、この作品の優れた点は雰囲気とキャラだけでは決してありません。
むしろ緻密に仕掛けられたストーリーこそが最大の魅力と言えます。
殺伐とした閉鎖空間における心の拠り所は少女を孤独にした仇であり、最大の脅威こそがかつての友…
登場するキャラそれぞれの背負った背景がすでに劇的なドラマを生み出すに充分な条件を備えており、現在公開分の話の中でも大きく心を揺さぶられる展開がきっちり用意されています。

キャラも、設定も、ストーリーも全てが魅力的な本作品。
「よくできている」と感じる作品は多くても、「好きになる」作品は滅多には無いものです。
ただ感心されるだけではなく、多くの人を虜にする魅力を持ったこの小説は、真に店頭に並ぶ価値のある希少な作品の1つです。

★★★ Excellent!!!

 ゾンビモノですが、通常のバトル系とは明らかに違います。とても静かで、サイレント映画を観ているような印象。また、作品全体に漂う雰囲気は、ヨーロッパ映画みたいです。最初に出てきた少年は、どうなったのでしょうね? 壁の外へは出られるのか、ユニと彼らがどこに向かうのか。とても気になります。

★★★ Excellent!!!

霊魂が見える少女、ユニ。
彼女は亡者を観察し、生き延びる方法を模索します。
その反面、ゴリラ(ジョセフ)はゾンビはゾンビというスタンス。
一読すると、ただのゾンビアクション系かと思いますが、そこにユニメモなる亡者の観察記録がまた違う世界観を与えてくれている。
この事態がどう収拾されるのか、期待です。

★★★ Excellent!!!

モダンなゴシックホラーのような幻想的な雰囲気から始まるのがいいなと思いました。
高く聳え立つ鉄の壁、雪空を低く飛ぶロシアの旧型爆撃機……
こんな雰囲気なら、やっぱりゾンビより亡者がしっくりきます。
そこからゴリさんが出てくると、ぐっと小説っぽくなって、少女はあに図らんや毒舌で、いいコンビが結成され、テンポが出たなと思いました。この二人、いいですね。
でも、文体はやっぱり流れるようで、そのギャップのようなものも面白いと思いました。
何か謀略のようなものの匂い、ちらつくゴリさんの過去、美少女ユニちゃんの貞操の危機、それからなんであんな重いポリタンクを引き摺っているのか……とってもいいところで終わってしまって謎が尽きない。
今後の展開を勝手に期待してしまいます。
 


★★★ Excellent!!!

 純然たるファンタジー世界でのホラーかと思いきや、『ロシアの旧型爆撃機』なる記述が出てきて違うと知る。
 現代世界でのホラー――つまり“在り得るかもしれない未来”という認識で読み進めるが……。
 ゾンビがはびこる救いようのない世界での、少女ユニの端然とした態度が印象的です。どこか危うい雰囲気もあってその魅力に引き付けられました。一方、今のところ相方である肉屋の男ジョゼフも憎めない性格で好印象。この二人が混沌としたロシアの地でどう活躍するのか、今から楽しみです。

 ゾンビと亡者の違いは何か? 知りたい方は第一話からどうぞっ!