21_SandBox_18


 眠っているときも涙は流れるんだったかな。外の私はヘッドセットを濡らしていないといいな。


 視界は真っ暗だった。体の向きは水平で、背中には、これは砂の感触。良かった、目は見えていて、何もない黒い空間を見ているだけ。えっと……。

 思考は完全に疲弊しきっていた。体も重くて、どこにも力が入らない。どうにか体を横向きにした私は『ジャリ』という足音を聞いた。やっとのことでその方角へ顔を向ける。そうだ、私は――

 遠い昔の四足歩行で少しの間進んで、砂で擦れる脚が痛くて、全く力の入らない脚をどうにか鼓舞して、それに近付く。ボロボロの姿で歩き続けるロボットの前へ。


 私はその手のひらに燐光を探した。けれど、見当たらない。確かにそこにあったはずなのに。『ジャリ』とまた音を立ててロボットは私との距離を詰める。ぶつかりそうになった私は一歩下がろうとして尻もちをついてしまった。前は立ち止まってくれたはずなのに。避けようとしても力が入らない、このまま蹴られてしまうかも。

 ところが、ロボットは私を透過した。触れることのできない立体映像のように、私の脚はロボットの脚と重なった。砂を踏む音も足跡も一時的に無効になった。あっけにとられていると、そのままゆっくりとした足取りで私を通り抜けた。私は地に手足をつけたまま、力なく茫然とロボットの方を見ていた。


 ジャリ、とロボットがまた一歩進む。見たことのある絶妙にのんびりとした足取りだ。

 どうして? 砂漠の砂粒に視線を落とし私は考えていた。


 燃料の切れた思考で答えを見つけかけた時、柔らかな光を感じた。上から……?



 星が空へと戻った。それが箱に設定された演出でないことを私は知っていた。

 降り注ぐことを繰り返す超粒度の光が暗闇の空に溢れんばかりに満ちている。

 るり色をしていた。瞬く間に空さえもう黒ではなくなった。時間が流れて行く。

 夜が明けるのだろう。

 /

 Robot keep walking for [ ] /

 isolatetion means his [ ] /

 no longer [ ] /

 knowledge, accumulation, [ ] lead [ ] /

 outside.

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