SandBox

??_外側_01

※「外側という名前のお話は飛ばした方が良い。少し間をあけてすぐには見えないようにしておくから」















『ある見方として純粋な物語にしたいなら、“外側”のタイトルを持った箇所は飛ばした方が良い』

「と伝えるらしいけれどこれで伝わるかしら。流石に私も導線までは加工も制御もできないはずよ」



「いらっしゃい。聞きたいことがあればどうぞ」


「あのおじいさんは最後にどんな映画を観ていたの?」


「それは答えちゃいけないと思うから答えないわ。数値がいくつを示していても、それを超えて守られるものがあるのよ」


「じゃああの2人の監視員についても聞かないでおくね」


「ご推察どうもありがとう」


「……今回のあなたはちょっと人間的なのねナミコさん」


「ニックネームまで。そういう制限なのかもしれないわね。与えられたのだから制限はおかしいかしら。まさか通りすがりのあなたにもう一度会うとは思っていなかったし。基本的な役割は変わらないはずよ」


 唯一の地に着いた文は彼女が見せた非常に魅力的な微かな笑顔の安心感を上手く描写できなかった。数値がヒト基準ではないから、なのかもしれない。


「この時代にはルールというか、基本的な考え方は無かったの?」


「あの2人が揺れていたように、脆いものではあるけれど存在はしたみたいよ。あなたの言う生と死に関する、ね」


「それなら可能性が見えるかもしれないね。よし……じゃあ行ってくる」



「どうしたの?」


「もしかして見ていてくれたり……」


「少しの間ね。あとは一人でやった方があなたらしいんじゃない?」


「……そうだね、ありがとう」



「もう一度同じ質問よ」


「最初のあれ、毎回なのかな?」


「そのつもりよ」


「大変だねえ……」


「少しの間でもフラットでなくなったからには割と楽しんでいたりして」


 意外な回答を聞いたので特権で地に着いた文が再度許されたが、やはりその微かな笑顔の魅力についてはそれがあったことと、見ていたもう一人も思わず微笑んだことしか伝えられなかった。

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