3月18日




頭に響くクラクションの音





私は運転席


信号は青


後方の車のクラクションに煽られて急いで車を発信させる





いい天気でそんなに渋滞もしていない

暑くもなく寒くもなく

ただ 見覚えのない景色



こんな時 状況は把握できなくても

悪い予感というものは分かるもので




少し走るとコンビニが見えた


とりあえずお茶とガムを買い 店員さんに聞く




「すいません。ここの住所を教えて下さい。」


「○○町ですよ〜」


「あの  何県何市ですか?」




店員さんの顔が変わる




「   群馬県○○市 ですけど?…… 」



ありがとうございましたとお礼を言いながら逃げるようにコンビニを出た






私は今まで群馬県に来たことはなかった

知り合いもいない

なぜ群馬県にいるのか

いや どうやってここまで来たのか



やっと少しパニックになり慌てて携帯電話を探した




充電切れ…


またコンビニを探し充電器を買う



記憶が少しづつ戻ってくる





私は母に病院に連れていかれ そのまま入院させられていた


3月15日 3日前


次の日 退院したいと主治医にいうが却下

中庭でジュースを買い煙草を吸った


その先が全く思い出せない




丸2日間の記憶がない








母に電話をすると泣いていた


病院からいなくなり大騒ぎになっているらしい

捜索願いも出したそうだ


状況を説明し今から帰るからと伝える

記憶がないことは言わなかった




帰り道

群馬から静岡までの遠い遠い道のり


私は本当にこの距離を一人で運転して来たのだろうか


なぜ群馬県だったのか



病院へ帰って私はこれからどうなるのだろう





これほど憂鬱なドライブをしたのは 後にも先にもこの時だけだ








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空間*Familiar ぱろっくす @paro

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