新しい技術:エスプーマ
※簡潔な答えが欲しい方は最後の数行を読んでください
こちらは簡単に言いますと、液体窒素やフリーズドライといった分子調理の一つです
用いるのは亜酸化窒素
本来は医療用や工業用に用いられていたのですが……
ドラッグの代用品として乱用された結果、指定薬物になってもいます
またオゾン層を破壊に繋がるなど、色々な問題を抱えていたり
そんなものを飲食物に使って大丈夫なのか?
という心配はあるでしょうが、今のところ健康的な問題はないそうです
世界20か国以上で食品添加物として認められていますし、基本的にガス状で吸わない限り、害はないとのこと
もっとも、食品添加物として認められたのが2006年と最近なので、この先どうなるかは不明ですけどね
ちなみに、開発したのはスペインの料理人フェラン・アドリア
世界一予約が取れない、また世界一のレストランに5回も選ばれた「エル・ブジ」の料理長です(当然、三ツ星レストラン)
ただ、自分の料理を見失ったということで2011年に閉店
今ではコンサルタント――料理を研究するラボやら博物館、バルやカフェをプロデュースという形で活動している模様
また、その伝説的なレストランで働いていたという日本人シェフも何名かおられ――東京や京都で活躍しています
とまぁ、前置きはこれくらいにして本題
ぶっちゃけ、どういったモノなの?について語っていきます
エスプーマは直訳しますと『泡』という意味
そして、その言葉通り――エスプーマは
※卵、ゼラチン、ジャガイモなどの
しかし、そこに一定量の生クリームが入っていると、泡ではなくクリーム状になります
早い話が、ガスの力で液状の食材を泡かクリームにするわけです
その為、エスプーマではつなぎが最低限で済みます
それにより素材の味を活かすことができ、これまでにない食感を生み出せるようになりました
※生クリームの量が少なく、別の素材(果物や野菜のピュレ、チョコレートなど)が多くても分離せず、クリーム状にできる
※ムースの場合は生クリームを入れなくとも、ガスの力でムース状にできる為、素材の味が強くなる
とにかく、通常よりも軽い、素材の味が強いモノが作れるわけです
またそれとは逆に、アンチョビや醤油など、味が強すぎる食材を食べやすくすることもできます
これらは矛盾しているように聞こえますが、原理は一緒です
軽いということは泡が多いということ
わかりやすい例だとビールや炭酸の泡
あれだけ飲んでも、味が薄いですよね?
泡状になると量が多く見えますが、実際は違います
その為、上記であげた刺激物を食べられるようになるわけです
ようは濃い原液をガスの力で泡やクリーム状にする、と思っていいです
悪い言い方をしますと、見せかけだけで持続時間は短いとも言えますが
実際、エスプーマはお持ち帰りを前提としたケーキや料理では使えません
さて、このエスプーマですが実は2種類あります
1つは最初に説明した亜酸化窒素ver
もう1つは二酸化炭素verです
ただ、二酸化炭素はあくまで炭酸
また味が変わるのでお勧めはできません(水に
それでも使用されるのは、亜酸化窒素の使用には資格と許可がいるからです
加え、家庭・個人用では設置が認められません
まぁ、お店の場合は基本的に亜酸化窒素と思っていいでしょう
どちらにせよ、エスプーマは専用のボトルに入れ、蓋を締めた後にガスを注入し、何回か振ってから使用されます(振る回数によって状態が変化、生クリームの泡立てと似た感じ)
その為、衛生的かつ迅速
なので、スターバックスなどホイップクリームをエスプーマで提供しているお店もあります
ただ、別の素材が入らないホイップクリームの場合だと、軽すぎて物足りない、食べた気がしないと言われます(まぁ、本人の好き嫌いにもよりますが)
それでも、通常のホイップと違って手間がかからない上に廃棄が少ないので、企業では重宝されるのでしょう
注文を受ける度にホイップするわけにはいかず、作り置きが必須
かといって、ホイップは日持ちせず状態の変化が激しい
それは冷凍ホイップや缶に入った植物性のホイップもしかり
エスプーマだとボトルのサイズが決まっておりますので、廃棄量は自然と抑えられます(基本的にボトルを縦にしての保管が推奨、また冷蔵庫の規格を考慮してさほど大きくない)
また、原液の用意さえあれば作るのに技術もいりません
実際、メレンゲの代わりに卵白エスプーマを使用している店は多いです
作り置きできず、時間のかかるメレンゲを数秒で作れるのは非常に便利ですからね
しかしながら、まだまだ新しい上に個人・家庭用では使えない
というわけで、あまりレシピが出回っていないのが難点ではあります
なので、自分の店で使おうと思ったら試行錯誤が必要です
もちろん、エスプーマの会社が幾つかのレシピを公開していますし、専用のミックス液や凝固剤も売ってたりしますが
また、僅かですがプロが講演会を開いたりレシピの公開をしていたりもします
ただ、こちらは分子料理だけあり、分量でほぼ決まります
しかし、その組み合わせは無限大
料理人の発想によって、いかようにも変化します
大事なのは、何と何を混ぜるか
提供する温度帯をどうするか
そして、つなぎを全体の何%までにするか
だけですからね
有名なところでフォアグラ、わさび、トマト、ポン酢、醤油、あさり、ドレッシングやソースなどなど驚きのエスプーマが存在します
そしてきっと、これからも増えていくことでしょう
というわけで、最後に超簡単な説明
エスプーマとは、
その特徴は軽くて素材の味が強い
また、独特の見た目や食感が面白いというモノです
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