第45話 6ヶ月抜け毛と離乳食問題

育児の悩みは、耐えない。解決したと思うと、次の課題が生まれる。子育てについて経験者に質問すると、「もう、忘れちゃった。」

と答える方が多いけれど、辛いことは忘れないと生きて行けないという人間の性を考えると、子育ては本当に過酷なのだろう。


それでも、寝顔を夫と覗き込んでいると、ほっとした。お気に入りのおしゃぶりの乳首部分をモミモミしていたりするとおかしくて笑いあった。「さすが、男の子だね。」

なんて言いながら、育児日記にすかさずメモを取る。


私自身の産後6ヶ月の頃の悩みは、抜け毛。母乳で栄養が取られるのか、パサパサ。髪を洗う時なんか、ドラマで抗がん剤治療中の患者さんが、手に黒い塊を掴み取ってしまいゾッとするシーンそのものだ。扇風機の羽に、髪の毛がまとまって絡まってた時も驚いた。気づかなかったら、火事が起きてしまいそうな量だ。


焦って、美容院に行った。美容師さんは、3人の子持ちなので私の動揺など軽く受け流した。「大丈夫だよ。授乳が終わって半年もすれば、抜け変わってキレイな髪が生えてくるから。」


そして、私はロングだった髪をバッサリ切った。「長いから、抜けると余計にびっくりするんだよ。パサパサ感も気になるなら、今回だけはトリートメントしてみたら?」

アドバイスを貰い、頭に天使の輪ができるような高品質のトリートメントを施してもらいパサつきも解消。


黒髪ショートにすると、元から童顔なためか、更に若返ったと言われた。20歳の若返りって、一体…友人たちは、大学生。流行りの服を買い、パーマやマツエクやネイル。可愛くなることに、投資を惜しまない。私も、いつも通りとは行かないまでも外出恐怖に陥る状態はなんとか免れた。おしゃれができるまでの余裕は、まだまだなかった。


早産でひと月早く生まれたので、離乳食は6ヶ月からと言われていたが、意外にあっという間に180日を越えその1週間後からスタートした。離乳食の作り方は、たまひよの付録を参考にした。10分がゆを作るだけで、緊張した。前日の夜から、友人に出産祝いにもらった離乳食調理キットを使用し夫と必死になってすりつぶす。すりこぎと茶漉しのような網を使って出来たものは、洗濯のりにしか見えない。


離乳食は、アレルギー反応を起こすかもしれないから、初めての食材は一日に一つ。新しい食材を取り入れる時は、病院が空いている平日の昼間がいいなんていう注意書きを読むだけで、不安になった。


離乳食一日目は、小さじ1/2をベビースプーンで何度も何度も根気よく口に運んでやった。自分で飲み込もうとするまで、唇の辺りで待ってやる。小さじ1くらいは、食べ切るだろうと準備していたが、途中でむせ出したので中止した。


離乳食を始めると、一日に一度少量にも関わらず便秘になった。ちゃんと、消化されているのか不安になりネットで情報を探る。ネットの情報を元に麦茶をあげると、便秘も解消。離乳食を始めたばかりの赤ちゃんにはよくあることと調べたが、ちゃんと便が出るまでの3日間は気が気でなかった。


一週間後には、おかゆの他に、枝豆を取り入れた。かなり柔らかく茹でた枝豆をすりつぶしたずんだのおかゆがお気に入りのようだ。ミルクがゆとは、比べ物にならないスピード感で食べている。とはいえ合計量は、小さじ2。順調。


しかし、離乳食を始めて二週間。朝10時突如として、39℃を越える熱。離乳食が、よくなかったのかな?不安で堪らず、すぐさま小児科に駆け込んだ。



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