第33話  ベビーシッター?

海は、ベビーシッターを雇うため、奴隷市場に向かう。海は、ベビーシッターを雇うというのは建前で、またもや女の子を探しに来たのだ。


奴隷市場のテントをくぐる海、相変わらず臭いテントの中、そして、デブの奴隷商人が気持ち悪い笑みを浮かべ、また海に近づいてきた。海は、ポケットからガムを取り出し、無言で奴隷商人に渡す。


「これは一体...」

「食え、やるよ」

「そうですか、ありがとうございます...」


奴隷商人は、ガムを口の中に入れ、早速案内をする


「今日は、どのようなお子さんをお探しで?」

「なぜ、子どもに限定する?」

「いやだって、ロリコ...」


海は、奴隷商が言い終わる前に、テントの壁に穴をあける


「今日は、ベビーシッターを探しに来たんだ、文句あるか?」

「いいえ、ぜんぜん...」


奴隷商は、大量の汗をかきながら答える。そして、いつものように、気持ち悪い営業スマイルに変わると、案内を始める…


目的地に着くと、奴隷商人が一人ひとり紹介を始める。


「こちら、1児母をしていたという、レソさん」


そう言うと、レソは、檻の中から出てきて挨拶をし始める、レソは、大人の色気がムンムン出ている美人だった。


「初めまして、私はレソと申します、あなたが私の息子を買い取ってくだっさたという、海さんですね、この劣悪環境から救っていただきありがとうございます。どうか、息子だけでも、幸せにしてください…」

「分かった...買います!」


海は、レソを解放した、レソによると奴隷になった経緯は、暴力夫の借金で売り飛ばされたらしい...この世界では、割と弱肉強食、そう言ったことは、稀ではないそうだ。


そして海は考えた末、奴隷商に前に買い取った子どもの親を、紹介してもらい買い取ることにした。


海は、合計102人もの、子どもたちの母親を解放した。あれ全員分じゃねぇ?と思う海。

海は、奴隷商を睨む


「どういうことだ?」

「いえ、私は知りませんよ」


そうトボケる奴隷商、海は、指ポキポキさせながら問いただす。


「これが偶然だと?」

「そ、そそそそうですよ!」


どうやら、しらを切り通すようなので、海は拳をお見舞いしてやることにする…


「がっ!」


奴隷商は、うずくまる、そして突如、周りから黒服を着た強面の男たちが出てきた。


「ほう、奴隷商人がこいつだけだとは、思っていなかったが、やはりほかにも物騒な奴らがいたか...」


海が言うと、黒服たちは、襲い掛かってくる。合計10人だ...


海は、襲い掛かってくる黒服に対して、殺さない様に魔力コントロールを乗せた格闘だけで対応する。


最初に襲い掛かってきた黒服が、ジャブで殴ってくる、海はその素早い拳を、目で捉えて躱す、海の動体視力は、魔力コントロールにより、世界をスローに見せてくれる。しかし、黒服のジャブは、かなり早い、裏の仕事ということもあり、それなりに鍛えているのであろう。

海は、ジャブを躱しながら、視界を軽く側面に向ける、それを見た黒服は、チャンスと思い込み、一気に畳み込もうと、ストレートを放ってくる、しかし海は、それを、頬ギリギリのところで躱し、黒服の腹に強烈な一撃を叩き込む。


「がはっ!」


そして、一人目は泡を吹いて、気絶した。海は挑発的な笑みを浮かべ、残りの黒服たちに言う


「僕はまだ、半分の力も出してないぞ?それでもまだやるのか?」


黒服たちは、一歩後ずさったが、流石は物騒な集団、海の言葉に、少しは怯えているものの、一人として逃げるものはない。


「じゃあ、こっちから行くぞ...」


海は、そう言うと黒服たちに、襲い掛かる


「消えた!?」


黒服たちの目にはそう見えた。しかし、海は魔力コントロールを使いで動いていただけなのだ。

海は、目にもとまらぬ速さで、黒服たちを気絶させていく...


そして、追い詰められた最後の一人の黒服は、おもむろにポケットの中に手を突っ込み何かを取り出した。


「動くな、鈴木海!」


海は、何かあると思ったので、一応止まる、


「絶対に動くなよ、鈴木海!動くと、このテントに仕掛けてある爆弾のスイッチを押す!」


どうやら、海の感は外れていなかったようだ。海は、呆れた顔で指差す


「ほう、お前の地面に埋まっている物のことか?」

「...じ、地面...」


そして、黒服が下を向いたその瞬間、海は、瞬間移動顔負けのスピードで、黒服に詰め寄り、スイッチを収納して、そのままのスピードを生かし、回し蹴りで、黒服を気絶させる。


「おっぶ!」


気絶した最後の黒服を蹴り飛ばした海は、事情を聞くため、笑顔で奴隷商の所に詰め寄る...


「ちょっと、待ってくれ!すべて話す、命だけは...」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




10分後...


何があったのか、白髪になった奴隷商を放置し、海は、奴隷商から聞いた話を整理する。


どうやら、奴隷商人は、裏で情報操作し、奴隷になっていた人たちの家族関係をめちゃくちゃにした挙句、意図的に奴隷にしていたそうだ、先ほど紹介してもらった、レソの家族も奴隷商たちの組織が、裏で糸を引き、父親の事業を失敗させ、甘い言葉で酒に走らせ、ギャンブルや女遊びに手を出すようになり、借金でレソたちを売り飛ばしたという。海が、なぜ女、子どもだけ奴隷なのかと、質問したところ、単純に高く売れるからだそうだ。男の奴隷は、需要がないらしい...


そして海は、すべての奴隷を解放することにした。解放した身寄りのないものは、海の土地で過ごしてもらうつもりだ、幸い土地だけはたくさんある。


海は、一応すべての、負傷者に超回復水を飲ませておいた、そして親には子育てには、問題ないことを確認した上で、解放する。

奴隷の首輪は、勿論外す、中には「外してほしくない、はぁ、はぁ、はぁ」と懇願する変態もいたが、外す。


そして、海は最後の奴隷を解放すると、奥につながる通路を見つける。海は、他にも奴隷がいるかもしれないと思い、向かってみることにした。


その通路は、暗く辺りを照らすのは、わずかに壁かけてある、ろうそくだけ、海は、怪しい場所だと思い、警戒を怠らない。


そして海は、とうとう最奥にたどり着く。


「なんだ、あれは...」


奥には、テントの中と同じ檻があった。その檻は、ところどころかなり歪んでおり、すぐにでも脱出できそうだ...しかし、海は人の気配を感じた、この檻の歪み具合なら、脱出は簡単だろうと思っていた海は、疑問に思い、檻の奥を見てみる、そして理解した、なぜ脱出しなかったのか...


その人物は、貼り付けにされていたのだ。それは、もう絶対に動けないであろう、頑丈に...そして海は、会ったその人物に声をかけたのであった...













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