第28話 帰還したお

海たちは、ゴリデスを倒してカレビ帝国に帰ろうと、船に乗り込もうとしていた。しかし、楓が海たちを引き留めた。


「ちょっと、待ってお兄ちゃん!そんなものに乗らなくても大丈夫よ!」

「そんなものとは、なんだ、そんなものとは!」


乗り物大好きっ子、サカナがわけの分からないところに食いついていたが、海はそれを無視して、楓の話を聞いた。


「どういうことだ?」

「簡単よ、お兄ちゃん!私ワープが使えるの」

「ワープ?ルー○ーみたいなことか?」

「ルー○ーが何かわからないけど、たぶんあってるよ」

「でも、ルー○ーって、自分が行った場所じゃないと、転移できないじゃん」

「そんなの関係ないよ、パーティ―メンバーが行った場所ならどこにでも行けるよ」

「いきなり、ゲームみたくなったな...パーティー?俺そんなの結成できないけど」

「かわいそうな、お兄ちゃん...」

「おい、今なんか言ったか?」

「何も言ってないよ、かわいい楓だよ!」

「うわぁ~自分で言うか…」

「じゃあ、お兄ちゃん!行き先を思い浮かべるがいい!」


楓は、偉そうにそう言うと、海の頭に手を置いた。


「何してんの?妹に頭ポンポンされる趣味はないんですけど…」


そこに、サカナが間髪入れず、指摘してきた。


「見るんだ、ドロップ!妹に頭撫でられて、にやけている変態がいるぞ!」

「海さん…胸の次は、妹…」

「ホントだ、お兄ちゃん、にやけてる、きも・・・」

「ぐはっ!」


3人の厳しい意見に、精神的ダメージをくらう海であった。


「そんなことより、早くいきたい場所想像しなよ、皆さんも私の体のどこかに繋がってくださ~い」

「想像するとどうなるんだ?」

「私の力で想像したとこに行けるよ」

「そうか、じゃあ頑張ってみるか」


全員が繋がったことを確認した海は、頑張ってカレビ帝国を想像することにした。


(早く、シャルちゃんに会いたいな~ぐへぺこ)


「お兄ちゃん、何か変なものが私の中に流れ込んでくるんだけど…」

「気のせいだ」


海は、再度集中してカレビ帝国を想像した。そして、海たちの体は光に包まれたのであった。


「着いたよ、お兄ちゃん」

「あぁ、って速!」


海が、目を開けるとそこは、カレビ帝国の王宮だった。


「楓、お前の力すごいな...」

「当たり前じゃない、私は最強なんだから!」

「そうか...ちなみにお前のその転送?スキルなのか?」

「そうだよ、他にもスキルをたくさん持ってるよ、ダンジョンに入った時に脱出するスキルとか、飛行するスキルとかあとさっき言ったパーティー結成とか」

「それ、最初から持っていたのか?」

「うん、ゴリデスに操られている間に使えることに気付いたの、因みにお兄ちゃんは、どんなスキルを持ってるの?」

「俺?アイテム収納とか…」


海は、圧倒的妹スペックに対し、自信なさげに答えた。


「お兄ちゃんそれ、スキルじゃないじゃん、私も持ってるよ、ほら!」


そう言うと、楓は自分の腰に持っていた、ナイフを収納した。


「なん、だと...」


海は、自分のアイデンティティーを簡単にマネされて、かなりのショックを受けた。


「どうしたの?お兄ちゃん、青い顔して?」

「いや、別に・・・」


海は、絶対に収納の別の使い道を、楓に伝えないことを誓った。


そして海は、勇者を撃退したことを、王に伝えるため王の間に行った。


「そうか、よくやった鈴木海!流石は、我が見込んだ男、これで我が身も安全である、わはっはっはっ」


王は、満足気にそう言った。海は、王の腹立つ笑いに対し、殴ってやろうと思ったが、やめておき。


「まぁ、今回は妹を回収できたしよしとするか…」


海は、小さな声でそうつぶやいた。勇者が妹だったことは、話がめんどくさくなりそうであったので、海は、敢えて報告しなかったのだ。


「それでだ、鈴木海、この働きに対し、私は貴様に爵位を授与したいと思う」

「爵位?なんだそれりゃ?エロいやつか?」

「黙れ、この色魔、取り消しにするぞ!」


王は、海の冗談に本気で怒ったいる様子。


「冗談だ、頂けるものは貰っておこう」

「そうだ、素直にそういえばよいのだ、まったく…」

「で、どの位を貰えるんだ?」

「そうだな、貴様には、上から大根騎士、人参騎士、茄騎士、きゅかんぼ~騎士、モヤシ騎士の中から、モヤシ騎士の称号を「いらないです...」


海は、そう言うと王の前を後にした。


「ちょ、ちょっと待って、鈴木海よ!何が不満なんだ!」

「分からないのか?」


海は、そんな不名誉そうな名前は、全くほしくなかったのだ。


「何が不満か、全く分からんが…爵位を手に入れると、土地を所有できるぞ、そうしたら自分の家が持てるということだ、どういう事か分かるか?」


王が、意味深な表情で、海を問いただした。


「どういうことだ?」

「察しの悪いやつめ、女を連れ込み放題と言いうことだぞ!」

「モヤシ騎士とやらの称号貰おうじゃないか!」


海は、間髪入れず爵位を貰ったのであった。


そして、王の爵位授与が終わった海は、忘れる前にシャルちゃんに会いに行く


「シャルちゃん~」


海は、シャルロッタがいるであろう個室を、ノックもせずにあけ放った。


「きゃ!」


そこには、驚きの声を上げ、パンツ一枚で、本を読んでいるシャルロッタの姿があった、部屋からは、イチゴのようなとてもいい香りもする。


「海、お帰り…てっ出て行ってよ~!」


シャルロッタは、自分の姿に気づいたのか、恥ずかしそうに、我がままロリボディを手で隠す。手ブラというやつだ。


「ただいま、元気にしてた?」

「元気だったわよ、入ってこないで出って!」

「そうかそれは、よかった、それよりシャルちゃん胸少し大きくなったんじゃない?」

「そ、そう、ありがとう、てっ、出てけ~~!!!!」


シャルロッタの、聞いたことないくらいの大きな声に、びっくりした海は、仕方なくシャルロッタの部屋を出るのであった…


そして、20分後...

着替えの終わった、シャルロッタが部屋から出てきた。


「遅すぎ~」

「し、仕方ないじゃない!女の子には、色々と時間がかかるものなのよ!」

「そうか、どうせ脱がすのに…」

「なんか、言った?」


シャルロッタの氷のような眼差しが、海に突き刺さる、海は、流石にまずいと思ったので、話題を変えることにした。


「そういえば、シャルちゃん僕、旅の間に仲間ができたんだよ、紹介するね」

「そうなの?ぜひ紹介してほしいわ、お礼を言いたいもの」


海とシャルロッタは、城の客間で待っているドロップたちの所に行った。


客間に到着した海は、扉を開け戻ったことを伝える。


「よう、戻ったぞ!」

「お兄ちゃん、遅い!何してたの?私に内緒で女漁りじゃないでしょうね?」

「違うよ、ドロップと楓に紹介したい人がいるんだ」


そう言うと海は、シャルロッタに自己紹介を促した。


「こんにちは皆さん、私は海ののシャルロッタ・アイリーンです、よろしく」


なぜか、彼女の部分を強調するシャルロッタに疑問に思った海であったが、海が何か言う前に、ドロップが自己紹介を始めた。


「私の、名前はドロップです、海さんの愛人をしています」


何時からドロップが愛人に、なったか知らなかった海であったが、なぜか、シャルロッタとドロップの間に火花が見えたような気がする。次に楓が自己紹介を始めた。


「妹妻の鈴木楓です、よろしく楓ちゃんって呼んでね☆」

「妹妻ってなんだよ...」


さすがに、突っ込みを入れる海であった。そして急に、サカナが謎の主張を始めた。


「シャルロッタ様安心してください、私は、鈴木ごときに毒されていません!私の心は、シャルロッタ様だけのものです!」

「そう…」


俯きながら、どうでもよさそうに答えるシャルロッタ。どうやら若干怒っているご様子…


「海?どういうことなの?仲間って聞いたから、ガチムチのおっさんかと、思ったじゃない、なんでみんな女の子なの、それに何!?愛人とか、妹妻って?}

「知らん、なんでガチムチなんだ...」

「いいから、真面目に答えて!」

「いや、知らん」

「真面目に答えて!!」


海は、涙目で襟首をグイグイつかんでくるシャルロッタが、可愛かったので、そのままにしておこうかと考えたが、誤解を解いておくことにした。


「妹は、只のブラコンの妹で、ドロップは、只の巨乳だ」

「ちょっと、待ってお兄ちゃん、前の世界にいた時、私のお風呂を覗こうと、必死になっていたのは、誰だったかしら?」

「すいません、楓さんシスコンの兄を許して下さい…」


妹に、猛反撃をくらう海であった。そして、ドロップからも猛反撃が来るであろうと思っていた海であったが、予想とは違い、ドロップは下を向いてその場で、何かに耐えるように、震えていた。心配になった海は、声をかけることにした。


「ど、どうした?」

「びどいでず、がいざん、ひっく、ひっく、あれだげセクハラしておいて巨乳だなんて~!!」


海は、マジ泣きしている、ドロップをどうにか、なだめようとしたが…


「うわぁ~泣かした~お兄ちゃんひど~い」

「海、流石に誤った方がいいわよ、私も引いたし…」

「最悪の変態だな鈴木、私からキサマに変態騎士の称号をひべぇ!」


サカナは、とりあえず殴っておいた海であったが、流石に海もドロップに悪いことをしたと思うので、謝ることにした。


「ごめん、ドロップ…愛人でいいからさ、機嫌直してくれよ...」

「嫌です…せめて恋人にしてください…」

「いや、ちょっと待て、自分から愛人って言ったんじゃん…分かったよ」

「ちょっと、待って海、堂々と浮気しないで!」


話の流れを聞いていたシャルロッタは、海を止めにかかった。


「謝れって、言ったのシャルちゃんじゃん…」

「でも…なんで恋人なのよ!」

「ダメ?」

「ダメに決まってるじゃない!」

「シャルちゃん、聞いてくれ」

「何よ、いきなり…」


海は、真剣な表情でシャルロッタに向き直った。


「シャルちゃん、突然だけどシャルちゃんの好きな食べ物ってなに?」

「なによ、ブリンだけど…ってそんなものくれたって誤魔化されないわよ!」

「分かってるよ、じゃあそのブリンが、この世から消えたらどうなると思う?」

「困るけど…今の話と関係あるの?」

「あぁ、あるとも、ドロップの胸は、俺にとってのブリンなんだ、無くては、困るんだよ」

「なにを言いたいのか、さっぱりだけれども…」

「他では、代わりが効かないんだ!」

「なんで、そんないいこと言った風な顔をしてるの、もう知らない!」


そう言うと、シャルロッタは部屋を出ていった。


海は、後でアメちゃんでも持っていったら、機嫌直すだろうと思い、王からもらった土地を、見に行くのであった…





















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