第27話 海君のクッキング

海は、ひたすら帰りたかった、モッコロは寒いし、戦いなんてメンドクサイし、メリットなさそうだし、帰りたかったのだ。


「帰らせてくれよサカナさん、お願いしますよ…」


海は、モッコロに入ろうとする、サカナに両手を合わせて懇願した。


「ほう、そんなに帰りたいか、ならさっさとゴリデスを倒してこい」

「お前、クソだな、あぁ分かったよ、今すぐ倒してくるから、船で待ってなさい」


海は、溢れんばかりの憎しみを込めて言い、サカナを船に戻した。


「頑張れよ、鈴木お前ならできる!」

「ちっ、後で覚えてろよ!」


嫌味たらしく見送るサカナに、海は、小物臭溢れる捨て台詞を吐き、さっさと片付けたかったので、飛行してモッコロ内に入った。


「どこにいやがる、ゴリデス」


海は、飛行しながら考えた、めんどくさいから、この国ごと沈めてしまおうかと、しかし、海の良心がさすがに傷んだ。


(関係ない人まで、巻き込んだらシャルちゃんに嫌われそう…)


海は、そう思い仕方なくゴリデスを探すことにした。


海は、まず一番目立つ城から探すことにした。


(どこですか~いませんかね~)


海は、城の上を適当に見て、ゴリデスを探した。あらかじめ楓に、ゴリデスの特徴を聞いていた海であったが、しかしそれらしい人物を見つけることはできなかった。


海は、仕方ないので城内に降りてみることにした。


無警戒に、適当に降りた海は、すぐに衛兵の一人に見つかってしまった。


「貴様!そこで何してる!」

「ゴリデスと言いう、男を探している!」

「そうか、なら死ね!」


(なら、死ね!って話の流れおかしくないですかね...)


どうやら、衛兵もゴリデスに操られているようだ。


海は、槍でつついてく、衛兵を死なない程度に殴り飛ばし気絶させた。

そして海は、名案を、思い付いた。


(まず、この衛兵から、鎧を剥ぎ取ります、そして見えない場所に衛兵を隠します、剥ぎ取った鎧を着ます、完璧です!)


全然完璧ではないが、海はそのまま城内へと入って行った。


海は、すれ違う騎士たちにばれない様に、敢えて堂々と歩いていた。そして、海が城内の通路を歩いていると、騎士が正面から歩いてきたのだ。海は、ゴリデスの居場所を聞いてみることにした。


「お疲れ様です!突然ですが、ゴリデス様の居場所を知りませんか?」


海がそう質問すると、突然その騎士は、自分の兜を取り始め…


「私が、ゴリデスだが、何か問題があったか?」


中から出てきたのは、銀髪赤目の美青年、ゴリデス本人であった。突然、エンカウントしたゴリデスに驚いた海であったが、すかさずゴリデスの顔面をぶん殴った。

海は、決してイケメンだから殴ったのではない...


「おべぇ!」


海の容赦のない拳は、ゴリデスにクリティカルヒットし、ゴリデスは、回転しながら派手に、飛んで行ったのであった。


「どうしたその程度か?」


海は、開始早々の不意打ちを行ったにも拘らず、自信満々に言い放った。


「貴様…一体なに「ジャスティスキック!!」


海は、ゴリデスが何か言い終わるまいに、ゴリデスに詰め寄り、顎目掛けて蹴りをくりだした。その攻撃も見事に、命中してゴリデスは、泡を吹いて気絶した。


「やれやれだぜ」


何がやれやれか分からないが、海は気絶したゴリデスを引きずって、楓たちがいる港に戻ったのであった…


港に戻った海は、すぐにサカナに声をかけられた。


「おう、戻ったか鈴木!随分と速かったな、はて?、その手に持ってるものはなんだ?」

「ゴリデスだ」

「そうか、ゴリデスか…で?それをどうするつもりだ?」

「とりあえず、モッコロに行って、アスファルト合材と砂利とコールタールを買ってきてくれ」

「何にを言っているのか分からん、伝わる言葉で頼む…」

「分かった、まぁいいか...固まってないコンクリートと、ドラム缶を用意してくれ」

「了解した!」


そう言うと、サカナはモッコロにコンクリートと、ドラム缶を買うために入っていった。


10分後…


途中ゴリデスが、目覚めそうであったが、海が再度殴って、気絶させておいたおかげで、無事サカナの買い物に間に合った。


「買ってきたぞ!」

「よくやった!」


海は、サカナにお礼を言うと、素早くゴリデスをドラム缶に敷き詰め、顔だけ出るように、コンクリ―トを流し込んだ。


「よしおっけーだ。今日はこれで決まり!ゴリデスのコンクリ積めだ、我ながらよくできたと思う」

「なにを言っているのだ、鈴木?」


まるで、料理の完成の様に言う海に、不思議に思うサカナだった。


「で、この後はどうするんだ?」

「-10度以下の海水を掛けま~す」


海は、組んできた海水を、大げさなくらい高い位置から掛けて、ゴリデスの気絶を解いた。


「うぅぅ…ここは?」


目を覚ましたゴリデスの言葉を無視して、海は尋問することにした。


「まず、確認だ、お前がゴリデスか?」

「そ、そうだ...私のことを知っていて、よくこんなことができるな、今すぐ開放しろ!命だけは、助けひべぇ!」


海は、迷わずゴリデスを殴った。


「ちょ、お前いきなり何をすうべぇ!!」


海は、ゴリデスを殴った。


「質問だけに答えろ、分かったか?」

「はい…」


ゴリデスは、コンクリ―トに詰められ手も足も出ないようだ。せっかくのゴリデスの綺麗な顔も、海の拳でジャガイモみたいになっていた。そして海は、尋問を再開した。


「お前の目的は、何だ?」

「世界を征服すふべぇ!」


海は、思わず殴った。


「すまん、もう一度言ってくれ?」

「世界征服です...」


ゴリデスは、先ほどの自信満々な態度とは変わって、恐る恐るという風に言った。


「そうか...でっ?お前が死んだら、すべての人のマインドコントロールが、解けるんだな?」

「なにがでっ?か分からないが、解けるぞただし…「お~いドロップ、こいつを海に沈めるの手伝ってくれ~」

「分かりました!頑張りますね!」


海は、ゴリデスなどは無視して、遠くにいるドロップに海に沈めるため、手伝ってもらうことにした。


「ちょ、ちょっと、待て!私は、魔王ゴリデス、後悔してもうべぇっ!」


海は、何か言っているゴリデスを黙らせ、ドロップと一緒に海にドラム缶を落とした。


「ドロップせ~のでいくぞ」

「分かりました」

「いくぞ!「「せーの」」

「ちょ、魔王であるこの私ぎゃああああああああああああああ」


そして、ゴリデスは、何かを必死に叫んでいたが、海は、そんなこと知ったことではなかったので、気にしないことにした。

沈んでいくドラム缶を眺めながら、近くに寄ってきた楓がつぶやいた。


「お兄ちゃん、ひどい...」


どうやら、日本育ちの楓には、少しショッキングな映像だったようだ、楓は、海の行動に少し引いていたのである。そして、又海の称号の覧に、新しく「魔王殺し」が増えたのであった…
























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