第26話 ツンデレ妹は、幻想です

24話の続きです。



______________________________________________________________________


海は、あまりの妹の変容具合に動揺した、どうやら、海のことをすっかり忘れているようだ。海は、少しショックを受けた。

しかも、もともと黒かった髪は、なぜか白銀になっている、しかし、妹であることは、間違いなかった。

海は、一応確認を込めて楓に聞いてみた。


「楓、俺のこと分かる?お兄ちゃんは、前の黒髪が好きだったのに、なんで銀髪なんかにしちゃったの、許さないわよ!」

「知らないわよ!あんた誰よ!」


反抗期かな?どうやら本当に忘れているようだ。それに、楓はこんなツンデレみたいな話し方ではなかったと、海は記憶している。


そこへ、疑問に思った、サカナは、海に問いかけた。


「鈴木、こいつと知り合いか、苗字も同じだし...」

「あぁ、妹だ、可愛いだろ、ぐへへ」

「きもっ、ちょっと待って、あなた、今妹って言わなかった?」


そこに、楓が食いついてきた。


「あぁ、そうだが...」

「フッ、そんなわけないじゃない、私の兄は、ゴリデスお兄様ただ一人よ!」

「誰だ、そいつ...」


海は、突然出てきた、謎の自称兄の名前に怒りを覚えた、そして、そいつが敵であると直感で分かった。


「あなた、やっぱり怪しいわね、怪しい奴は、殺してしまっても構わないと、ゴリデスお兄様に、言われているの、だから始末するわ!」


そういうと、楓は、腰につけていた短剣を抜き、海に襲いかっかてきた。


「ちょ、待っ!お兄ちゃんの話を聞きなさい!」


海は、咄嗟のことであったが、楓が持っていた短剣を、海の体に短剣を触れさせ、自分のアイテムボックスに収納した。


「ちっ!」


楓は、舌打ちをして体制を整えるため、バックジャンプで一旦後退していった。


「なんなのよ、あんた!私の武器をどこにやったの返しなさい!」

「武器?、知らないお」


海は、ふざけながら、すっとボケて見せた。その態度が気に食わなかったのか、楓は、顔を真っ赤にして、地団駄を踏んでいる。


「もう、ゆるさない、本気で怒ったんだから!」


楓は、どうやら、スキルを使うようだ、海は、サカナたちを安全なところへ、下がらせるため一声かけようと振り向いた。しかし...


「頑張れ!鈴木応援してるぞ!私には、無理だ!」

「ファイトだぞ海さん!頑張れ!頑張れ!海さん!」


ドロップとサカナは、すでに安全なところに避難をして、煽っていいるような、本当に応援しているような、適当な応援をしていた。

海は、ちょっとムカついたので、後で文句を言ってやろうと心に決めたのである。


「あら、ニセお兄様たらっ、仲間に見捨てられてかわいそうに、プッ」


楓は、スキルを発動させる準備をしながら、バカにしてきた。


「仕方ない、楓よ少し痛い目に合ってもらおう」

「やれるものならやってみなさい、「ヘルフレイム」!!」


そして、楓は、海に向かって大きな炎の玉を、放ったのだ。それは、港全体を破壊しそうな大きさであったが、


「キャーヤラレル―」


海は、そう言いあっさりと、何事もなかったかの様に、火の玉を収納したのだ。


「...あれ?」


楓は、突然消えた自分の技に口をあんぐり開けて、唖然とした。海は、その隙をついて、全身に魔力を巡らせ、一気に楓に詰め寄り、八つ当たり気味のお仕置きパンチをすることにしたのだ。


「お兄ちゃんピストルパンチ!、お兄ちゃんロケットパンチ!、お兄ちゃんガトリングパンチ!」


海は、適当な技名を言いながら、適当なパンチで楓に攻撃した。そして、そのすべてが、楓に命中し...


「がはっ...」


楓は、ボロボロになり、大の字で地面に横たわった。


「あっ、やっべ、やりすぎた...」


海は、力をあまり入れずにやったつもりであったが、思ったよりも魔力コントロールは、難しかったのだ。


「おい、鈴木!自分の妹を、ぼこぼこにして楽しかったか?」


サカナは、遠くから嫌味ったらしく言ってきた。

海は、サカナは、本当に性格の悪いやつだと思い、後でサカナをぼこぼこにすることを決めた。


海は、危うく怒りで、放置しそうだった妹に近寄り、超回復水を飲ませた。超回復水でついでに、記憶も戻ればいい、そう期待していると...


「お兄ちゃん...」


楓は、目を覚ましたのだ。


「おぉ、目が覚めたか楓、僕のことが分かるかい?」

「えぇ、全部思い出したわ、さっき、お兄ちゃんにいっぱい、パンチされたことも、しっかり覚えてるくらいにね」

「それは、思い出さなくていいから...」

「一生覚えているわ、お兄ちゃんピストルパンチに、お兄ちゃんロケットパンチ、お兄ちゃんガトリングパンチだったかしら?」

「やめて...恥ずかしい...」


海は、手で顔を覆いながら、一生妹を殴らないことを心に誓った。まぁ、当たり前である。

そして、目覚めた妹に、どうしてここにいるのか、なぜこうなったか、話を聞いた。


「そうか」


妹の話を聞いて、分かったことは、どうやら召喚は、ゴリデスの仕業だということだ。もともと、海を召喚するつもりだったらしいが、手違いで、妹が召喚されたようだ。それに、ちょうど家の扉を開けた海が巻き込まれたようだ。

海は、内心なんじゃそりゃと、思いながら妹の話を聞いた。

そして、妹が記憶を無くしていたのは、ゴリデスが、何らかのスキルか魔法でマインドコントロールをしていたのだ。

ちなみに、妹の髪が銀髪だったのと、ツンデレな性格は、ゴリデスの趣味でそう仕向けられていたらしい。海は、内心ちょっと引いたが、妹は、マインドコントロール以外、別段身体的には、ナニも何もされていなかったらしいので安心した。

又、モッコロの王もゴリデスに操られていて、モッコロは、かなり治安が悪くなっている。


「ゴリデスか...まぁ、どうでもいいか、勇者が妹って分かったし、そろそろ帰ろうかな」


海は、目的が達成したので、モッコロに入る前に、さっさと妹を連れて、カレビ帝国に帰ることにした。海には、シャルちゃん成分が足りていないのだ、今すぐ補給しなければならない。モッコロでゴリデスを探し出して、復讐してやろうとも考えたが、めんどくさそうなのでやめた。しかし、それを聞いていた、サカナが文句を言ってきた。


「おい、鈴木、そのゴリデスという男を倒さないのか?」

「また、めんどくさいこと言ってるよ、この人」

「まただと!キサマというやつは...モッコロの民が気にならないのか?」

「まぁ、気にならないといえば、ウソになるが...」

「では、ゴリデスを倒しに行こうではないか」

「嫌だ、めんどくさい帰る」

「では、私一人で行ってくる」

「行ってらっしゃい、体に気を付けるのよ」


海は、さっさと船に乗り込み船を出発させようとした。しかし、ドロップがそれを止めた。


「海さん、待ってください船は、だれが運転するんですか?」

「あっ」


そう、船を運転できるのはサカナしかいないのだ。海は、自分で運転することも考えたが、船の操作などしたことがなかったため、あきらめてしぶしぶ、サカナを追うことにしたのだ。海は、船を運転できるようになろうと、心に誓ったのだった。


























  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る