なにげなく、コメントで批評(企画参加作品に)

 数年前ですが、それまでピクシブの批評グループに在籍してましたって話はしょっちゅうしてますが、モットーがあって提出された作品はとにかく全作講評してみるというスタンスでやってまして、そんなに長くは続かなかったわけなんですね、これ。


 グループメンバーさんからは、全作品なんて無理はしないほうがいいと忠告もされたものの、自身がプロでもないのにそんな不公平というか、選べる立場にはないというわけで、全員同じ立場として全作品の講評をした、という感じでした。(やがて講評希望とはっきり表明した作品のみになり、それ以外は開きもしなくなりましたが)


 ここ、カクヨムの自主企画でふと目に付いた募集の案件で、つい懐かしさで要らんことをしてしまって、自分は出さないくせに参加している他人様の原稿に批評を書き込んでしまいまして。反省してます。


 文学文芸の賞に出すということだそうで、その場合はWebで主流の書き方だとまず門前払いだと思うんですね。そういうことを書きました。


 とにかく読者の都合を第一に考えた書き方っていうのは、文章の芸術性を損ねますので。一貫性とか完成度を下げるんです。読者の要望に付き合うのではなく、読者を要望に付き合わせるのが文学文芸です。


 冒頭には読者の興味を引く事柄を置けとエンタメでは言います。文学文芸は読者など関係ありません。作品全体の設計図において、そこに必要なものを置くだけです。だから最初から最後まで一貫していて、統一されており、一切の無駄はありません。それが完成度の高さに繋がるので、無駄はないんです。無駄なく配されていれば、違和感ももちろんありません。スルスルと読めるのはむしろ当然です。


 無駄とは、読者への忖度を指します、作品の緩急は含みません。閑話休題が入ったとしても、それは読者への忖度で作られたわけではないのが文学です。計算尽くでダレる部分が作られ、それは読者の反応は無視して、設計図に従って置かれるということです。ダレが何らかの効果を後に発揮する設計だからです。


 例えば、文学で異世界転生をやるなら、異世界に転生することそのものにも意図が必要です。ストーリーの根幹に関わる設定が隠されているはずです。「流行りだから」で片付けないでください。

 転生した後の主人公の人格や環境、人生には転生という事実がどのように絡みますか? その上で物語りのテーマにはどう関わってきて、どう必須であったのですか。


 そのストーリーが語られる中で、転生という要素が必然でなければ、その設定は単なる無駄設定です。削りましょう。


 文章をいくら文学っぽく、なんちゃってで近付けてみたところで、そういう無駄な装飾品でしかない設定がてんこ盛りではとても賞レースで評価はされません。文学というのは、一文の中でさえ虚飾がないか無駄はないかと厳しく断じられてしまうジャンルですから、そんな、本来解りやすい、設定の無駄なんてトコロが山盛りで無駄だらけではどうしようもないんです。


 無駄な能力設定、無駄な容姿設定、無駄な世界観設定、無駄なエピソード……



 優れた文学作品は、とてもシャープです。真の意味での余計は一切ありません。無駄が削ぎ落とされているというのは、そういうトコロなのだな、と最近は思うのですね。


 こっちの世界で事故死して、あっちの世界へ転生……ちょっと待って。事故死というパワーワードを放置ですか。(笑


 クラス全員で飛行機事故、全員が転生……飛行機事故を題材に深刻な話が幾らも書かれているわけです。比較されないとでも? 何の為に出した設定ですか。


 比較というのが一つの鍵ですね。エンタメだからで許されている部分でしょう。そういう設定や要素ひとつひとつを吟味して、そちらへの忖度や誠意に必死なので、読者などは一番最後……、とも言えるかも知れません。


 ジャンルの壁で護られているということも言えるのではないか、とも思います。エンタメはまず、「読者が」面白ければいいはずです。文学は、文学に近いところを意識するほど「完成度」が重視されていきます。芸術品の評価枠に変わるので、エンタメ物差しでの面白いかどうかなどを言い出したら恥を掻きます。

 ミステリファンがロジックにこだわるように、文学では完成度にこだわるということでしょう、それがその界隈での「面白み」ということだと思います。


 う~ん、微妙、微妙。奥が深いですな。(笑



 例えば、ヤクザという登場人物を出します。エンタメなら深く考えずに出しても許されるけど、文学となるとそこに誠意が必要になる、そういうことかな、と思います。


 アイフルの宣伝思い出した。


「今野! そこに愛は、愛は、あるんか?」


(今までを台無しにすんのもエンタメなら許されます)




 せっかくなので自分が書いてる公募作も出してみれば良さそうなものですが、やっぱりWebには出したくないんです。疑心暗鬼が加速すんのもヤだからね。(笑


 今んとこ、第三稿終了。ちょっとのっぺりした読後感で、何も心に残らないなと判じて、悩んでます。(どうしてこうなった…)前回のヤツはかなりイケたのになぁ。


 真を隠すのに、目立たなくするという方法がありますが、それをすると、読後感で刺さることが減ってしまうわけですねぇ。正解バレバレになったかもです。(笑

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