現代劇かつ大人向けの条件②

 一個挟んで前のつづき、です。


 世の中、特にオタク向けのジャンルの大半は「現実から離脱した夢想ワールド」が舞台で、その世界観は千差万別とはいえ、ほぼ”現実離れ”というひと言で括れます。


 ぼくのかんがえたこんなせかい、というヤツね。夢物語。


 意地の悪い書き方をしましたが、心の底ではどうしたってこの本音は拭えません。人間、聖人君主なんか数えるほどしかいないのが現実、人間だもの、が実情です。嫉妬、偏見、侮蔑、侮り、人の持つマイナスな感情もまた愛おしい、てなもので。(実際のトコ、マイナス感情の薄い聖人君主ってのも一つの畸形じゃね?とか思う)


 で、こういう現実無視の創作世界で、現実世界の問題を取り上げてのお説教をかましたら、特にひねくれた読者心理は何を感じるでしょうか?


 これが、大人向けエンターテイメントを創造する際に低通するハードルです。


 物語を作る側の姿勢は思い切り現実無視をかましています。リアルだけで作れないからご都合設定をくっ付けたとも取れる側面があります。なのに、テーマで現実に通じる問題を取り上げたりすれば、自身の姿勢を棚に上げて、目を背けるな!とかぬかすようなものです。心に響くはずはありません。

 多く、創作論ではこういう事はスルーします。体裁が悪いからですかね。読者の本音の隠された部分、シビアな部分に触れていくエッセイ系のものはあまり見ませんね。断言に近い書き方をするため、触れにくいのは確かです。浅薄ながら私が読んだ中でも三島由紀夫のエッセイ本くらいしか記憶ないです。


 トールキン御大がワールド一つ徹底してこさえたという事情も、実のところ、これに原因を求めるべきじゃないかなと思ったりします。夢物語の中でお説教くさく、テーマだの人間を描くだの、ちゃんちゃらおかしいではないか、て感じでしょうか。


 普通、読者もそんなに深く考えて創作物に触れるわけではないでしょうから、これらは考えすぎと思うかもです。触れるわけではない、ほら、本音が出てますわ。深く考えてほしいテーマを主柱として扱う時は、だから、逆を行かねばならないわけです。文学を書こうと思えば、エンタメではいけないわけですわ。


 真剣勝負を挑んでいる、ということになるのでしょうかね。人間というテーマを生真面目に書いて、それを生真面目に正座で読んでくれ、とやるのが純文学でしょう。


 ま、それに反発して、こっちは生真面目に書いてるけど気にせず寝転んで煎餅齧りながら読んでくれていいよ、という純文学だって派生してきますわ。派生が派生を呼び、逆を行ったはずがにじり寄った感じのエンタメと変わりないのまで、とかく小説というのはピンキリ何でもアリなんで、百花繚乱なのです。

 こういう経緯で生まれた作品かなと詮索することから、これはいいけどこれはダメだろと線引きすることまで、受け取る側も百花繚乱。フリーダム。自由ってそゆこと。


 しかし、人間心理の根底にはっての、割とあるあるな共通項で誰もが持ってるもんじゃないかと思います。大人になるほどひねくれたモノの見方をする、とかも。子供みたいに素直に忠告受け取らないとか。


 だから、夢物語でない現実としての現代という舞台に需要があります。それが大人向けと端的に言われる物語群でもあるかと思います。現実に即した意見を言うために、徹底して自身の側でも棚上げ禁止、という姿勢。




つづくんじゃ。



<余談>

 ハイロー二次書き始めて気付いたんだけど、ハイロー世界の表現で、比較して落としたり上げたりはほとんど見ないな、と。慌ててそれに見えそうなシーン削りましたん。こゆトコ、二次創作はしんどいね、原作壊さないよう気を遣う。(笑


 どこでだって夢は見られる、これだってEXILEとか三代目とかが現実に叶えてきたからこそ言えるし、説得力が伴ってんだよなぁ、と。

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