　金田一シリーズが昭和の時代にリメイクをガンガンされても成功したのは、ひとえに昭和の日本人がまだ一丸となってて右向け右な民族だったから、てのがあります。同じような手法は現代では通用しないと思われ。

　昭和歌謡や昭和アニメは特番組んで懐かしのとやっても視聴率を稼げるが、平成のものでそれはほとんど無理でしょう、皆がバラバラになったので。

　時代性というのを観るに、これほどバラバラな時代ってのもなかったんと違うかなぁというくらい、現代って皆がバラバラですね。

　マーベルとかハリウッドがそういうわけで普遍に訴えるファンタジーな作品ばっか作ってて、なんかヤバいぞな焦りだけを覚えているのも解かりますわ。

　んで、バナナフィッシュの時代ですわ。あの頃は同時に「ファミリー！」「エイリアン通り」「ジョジョ（の初期この辺だったよね？）」なんかで、アメリカってのがものすごく近かったんですよ、感覚的に。憬れのアメリカ、なんて歌謡曲でもよく歌詞に登場したもんです。

　世間がアメリカにすごく興味があり、マイケルジャクソンの曲とかが街角でガンガン流れて、だからアメリカを舞台にしたアメリカの物語に日本人も興味を持った。

　今はワールドワイドな戦略は無理。それが叶うのはファンタジーだけ。各国、自分の国にすら関心がない人が増えてきてて、どんどん視野が狭まっていて、せいぜいツイッターとかラインの友人関係しかチェックしないって人が多くなっている。それでいて広く世界を見ているポーズでファンタジーを摂取していくわけですわ。

　またハイローの話になるけど、ハイローのテーマの一つで「俺たちは何があっても仲間を見捨てねぇ！」てのがあって、ただ、確かにこれは今の時代に一番求められてんだろうなぁとは思うのだけど、いかんせん、ハイローは舞台設定がちょっとだけズレていたのだった。昭和の時代とマッチしてんので、どうしてもこの台詞は古き良き時代、憬れのあの時代、てなっちゃって、リバイバルの金田一シリーズを見るが如くになっちゃってんので、ドンピシャには突き刺さらなかったんだよなぁ。

　今の時代って、ほんとの狭苦しい仲間内のラインだのツイッターだので強固に結びついてる少数だけの世界で、孤独になった時の恐怖ってのをひしひしと感じながら生きてる時代じゃん？　少数しか繋がりがないから、すごくリアルに孤独を想像できてしまうんだな。そんで、孤独でも平気っていうメンタルのタフさはないでしょ。こんなもん（孤独）、どうってことないんだけどもさ。

　だいたい、そうそう本当に独りぼっちになんぞならんよ、家族だの近所だのネットでもほいほい誰でも繋がるのは簡単なのだが、自分で囲い込んだ人間関係の中にネット引き篭もりしてるヤツが多いから、孤独を闇雲に恐れてんだろなとか思うけど。

　なので「何があっても見捨てねぇ！」な誰かというものに憬れている、という山師的勘所はスバらしく当たっていたんだけども、時代が、暴走族がもう昭和の象徴なので過去の理想の物語に終着しちゃってるんだよねぇ。それだからこそイイてのもあるけども。現代でこれやっても嘘っぽいだけだもんね。

　過去にはあったかもしれないと強く信じられる「何があっても見捨てねぇ！」なので、現代を舞台にするとなかなか表現のしようがない、という問題。

　だけど、たぶん、求められているのはコレなんだろうとは思うんだけどねぇ。

　山師的勘、てのはさ、こういう考察は後から自分の中のピンときたモンを分析したらリクツが後から付いてきた的なね、まずは勘からなのだわ。

　ビジネスとかでも同じと思うのだよ、よくリクツっぽいとかいうが、それは同時に勘に頼ってる人間でもあり、己の勘を強化して確実にする手段として理屈を利用してんのよ。だからある意味では直感的にやってんの。ビジネスマンとかこんなの普通と思うのよ、商売ッ気が強いやつって。

　山師の勘でピンときて、それからよ、リクツは。それは他の、リクツを嫌がる連中ともなーんも変わらんのよ。リクツの分だけ強化はされるけども。基本的には誰もが同じ手法だよね。リクツを通そうとするかどうかの違い。

　山王の連中はリクツよりも理想で、だからちょい脆いトコがある。その象徴的な人物が琥珀さん。理想ってのは、現実を見ずに理想、て意味ね。それでいうと、マイティの連中も実はそこ似てて、だけどS.W.O.R.Dの連中は現実をまず踏まえてんのね。陣営ごとでちょっとずつ違うけど。やっぱ構造が巧く出来てんなぁ、と感心したのですわ。一番現実見てそうなのが達磨だよねぇー。で、九龍グループがあんま出てこないのに不気味に怖そうなのもソコに根ざしてるからだよ。ほんと巧く出来てる。

　ほんで元に戻るけど、ファンタジーてのがそもそもで理想なんだ、現実無視の。だからこそ、ハリウッドは焦っているのだよね。現代をベースにしないと現実を踏まえたってトコはどうしても嘘っぽさを含んでしまう、何をいってもエソラゴトを含んでしまうからさ。けど、現代の時代性ってのが掴み切れないのでしょうかなぁ。（どうにも壮大なストーリーには不向きな時代だよね、個人主義極まってるから個人の問題で終わる。）