【盛大なる】星降り山荘の殺人【ネタバレ】&【講評・辛口】

「犯人はヤス。」どころか、丁寧に「こういう仕掛けでさ~、」を書いちゃいますんで、マジで未読の方は読まないでね! 責任取らないからね! 














 マジで! ネタバレどころじゃないから! 言ったからね!?












 んでは。




 この作品、読み終わった後の感想は「よくここまで思い切ったことしたなぁ、」でした。正直ね、打算が働いたらプラマイで釣り合わない足し引きしてると思うのよね、ホント、よく使い捨てにする気になったなぁ、と感心しました。


 これ、私が書いてたとしたら、思いついたトリックの方を棄てるもん。(笑


 この思い切りの成果だよねぇ、よくぞあのキャラを使い捨てにする気になったなぁと、そればっかりが頭の中で回ってるわ。


 だってさ、思い切りキャラの立ってる、シリーズモノでもやれそうなキャラをさ、犯人にして一作こっきりで棄てるとは思わないじゃん?(笑

 正直、ワトソン役の杉下くんも、真の探偵である麻子ちゃんも、いうほど魅力ねーんだもん。麻子ちゃんに関しては隠してたトコもあって、ほんとにスッカスカ。もし続編出ますって言われても「ふーん、」で食指も動かんってキャラだよ? だから本当に、感想としては一言で、「よく棄てる気になったなぁ、」だわ。

 これ、作家先生としては一作きりの設計図なんだろうなぁ、んで、このキャラが出来ても初志貫徹で、妙な色気を出さなかったのがスゴイわ。終盤あたりまで来れば、発する雰囲気でスゴイキャラが出来たって、すぐ解かっただろうにさぁ。


 この犯人がさ、最後の蛇足展開をナシにして(私そこは飛ばしたわ)、それまでの描かれ方がさぁ、本当に魅力のあるキャラクターなんだよねぇ。最初に登場した時は「なんじゃコイツ、」と思う厭な感じがしたけど、途中からどんどん輝き出してさ、シリーズ化を期待させるほどに光ってたもん。大概の作家さんが言ってんのにだよ、続編期待されるようなキャラなんて計算じゃ作れないのに、だよ?

 勿体無いなぁ、という感想だわ。けど、この勿体無い根性を棄てたからこそ、ここまで見事に誰もが騙される作品に仕上がったとも思うんで、いやぁ、しかし、勿体無いなぁ……。(苦笑


 これさ、キャラクター製作の苦労っつーか、こういうキャラが偶然に生まれるじゃん? んで、これを雛形に新しく作ってもさ、基のキャラにはならないんだよね。書き手が同じであっても、複製は以前ほど輝かないんだよ、少なくとも私の場合はそうだよね、その時の作中で輝かせたら持続するけど、別の器を与えても同じにならないのよ、不思議と。やっぱキャラは生きてんなぁ、と思うんで、私だったらネタの方を棄てただろうなぁと思いました。まる。


 難しいね、このキャラだったから不朽の名作になった点は否めないんだなぁ。


 惜しむらくは、最後の蛇足展開をどうにかして欲しかったなぁ、麻子ちゃんはどこをどうしたってスカスカキャラでテコ入れしようはないから、犯人くんの動機をもうちょっとヒネって情状酌量できるモンにした方が、より作品としては良かったのにと思ったわ。入れ込むべきキャラを間違えたのかなぁ。麻子ちゃんは、悪いけどまったく魅力ないから、ラストで取って付けたよーに花を持たせたところでなぁ。と、思いましたっ。


 誰が魅力的かってのも読者ごとに違うけどねぇ…



 あ、犯人くんの魅力ってのは、顔だのスタイルだのの見てくれじゃないからね。性格とギャップね、なんというか、内面のバランスが非常によくって、ちゃんと生きてんの。それでいうと、杉下くんはちょっと生気足りないし、麻子ちゃんは描写量がまったく足りないからただのモブ。だから、ラストが蛇足展開だなぁと思ったのよね。他は一切モブだったから、花を持たせるなら最後まで犯人くんにしとけば良かったのになぁ、と思ったってことね。(例の社長も同郷で、もしかして…でよかったんじゃないかなぁ)


 推理モノって作家ごとのポリシーっての深く関わるから、私なんかは、探偵役の魅力とトリックの凄さの両輪で回すモン、て考えがあるから余計かも知れないけど、こういう叙述トリック系で満点を出すのはほとんど無いなぁ、と。


 ホームズから入ると、探偵モノってのはキャラ小説だ、みたいなトコないです?


 自分がいざ書けるかと言われると、そんなん無理なんだけど、求めはやっぱ高くなるよね。大御所の先生方に期待っ。(笑

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