さらに一年と半年がたった

疲弊した昨年からさらに一年半がたち、2022年も残り二ヶ月を切った。

息子は小5である。

新型コロナの波は現れては落ち着きを繰り返している。終わりが見えているとは言えないが、不思議なことに我が家は全員罹患せずにいる。もしかすると無症状で既にかかってしまっているのかもしれないが。


ありがたいことに、息子の状態は安定している。とはいえ、病院通いは多く、甲状腺が二ヶ月に一回、児童精神科が二ヶ月に一回、耳鼻科は三ヶ月に一回くらい、その他ダウン症外来、小児外科、心臓、あたりが一年に一回程度ある。

歯医者も続いている。折れた歯がなおることはないので、ボンドで周囲の歯と固定しているのだが、これが三ヶ月くらいしかもたないので、近所のかかりつけ歯科で定期的に直してもらっている。


この一年半で世界は大きく動いた。新型コロナの波が続く中、隣国の隣国で戦争が始まり、元首相は殺害され、政治とカルト教団のズブズブが明らかになり、首相は頼りなく、野党も頼りなく、僕等は何をよりどころに生きていけばいいのか、混沌しすぎてさっぱり分からない。あるいは、とっくの昔に拠り所なんかなくなっていたのかもしれない。


そんな中で、今度は僕の調子が悪くなってしまった。この夏のことだ。


仕事の手が動かなくなった。ずっとコンピュータの仕事をしていくんだろうなと思っていたが、ふいにコンピュータの仕事せんでもいいなという気分になった。もともと、宝くじ当ててとっとと隠居したいとは触れ回っていたが、それとは別にコンピュータ関係ない仕事に移ろうかな(それこそ、保育園の用務員さんやれば、お世話になった保育園に恩返しもできるかな、とか)などと考え始めた。


で、まあ、やばいと思ったわけだ。


そこで、11月に10日間くらいの休みをとることにした。その程度なら有休で処理できる。休職するまでもない。その休みを目標に、9月、10月と仕事をした。そうしたら逆に頑張りすぎて疲れた感はあるが、まあでも結局11連休を錬成して、その休みが残り二日の時点でこれを書いている。


息子はと言えば、ずっと父親がテレワークで家にいるのに慣れてしまったからか、何をするにも僕に甘えようとするのが困ったものである。だが、学校や放課後デイでの様子を聞くと、彼なりに外ではお兄さんとして(上級生だしね!)頑張っているっぽいので、その反動で家では甘えているのかもしれないとは考える。


少しずつ言葉も増えてきた。

少しずつ食べられるものも増えてきた。


まだまだ先は長いが、着実に成長しているのは間違いない。


今の状態を維持できれば、僕等はなんとかやっていけそうな気がしている。疲弊はしているが、サバイブする術もようやく身についてきている。

あと7年で息子は18歳。成人である。高校卒業後のことは、常に意識していないといけないが、息子のほうが生命力や生活力ありそうなので、まあなんとかなるのではなかろうか。


だからそれまで、「世界」には生きていて欲しい。



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