夢の中で生きている
息子はトイストーリーが好きであることは、何度も書いてきた。特にバズがお気に入りである。ウッディはどうかというと、ウッディはお父さんで、自分はバズであるらしい。
バズは腕の通信機的なものを使って作戦日誌をつけるのだが、息子を見ていると、何か作戦を始める時に腕に向かって色々と喋って、なんかしてなんか喋って、一通り作戦を終えると納得する。
彼の中では、トイ・ストーリーの世界も、ドラえもんの世界も、ぬいぐるみのはなちゃんと遊ぶ世界も、現実の世界も、しごく曖昧な境界線で接していて、あっちに行ったりこっちに行ったりが普通なのだろう。
それはまるで、夢の中で生きているようなものだ。
だけど子供ってそんなものだと思う。
自分の記憶を掘り出してみても、小学校の間は、現実半分、夢半分で生きていたような気がする。……いや、むしろ、この歳になっても、どこか、夢から抜けきれられていないのかもしれない。
僕は小学生の頃からパソコンのプログラムを作っている。小学生の頃作っていたのは、色々あるんだけど、たとえば、宇宙船ごっこをする時にコックピットっぽくするためのごっご遊びプログラム。ゲームではない。ワープのボタンを押すとワープっぽい画面がでたりする、そんなプログラム。
その頃の僕の中では、プログラムを作るという当時の少年にしては尖った趣味と、宇宙船ごっこ(宇宙船はパソコン周辺に椅子とか色々組み合わせて作る)が共存している奇妙なバランスだったのだ。
しかし、今はバランスが取れた人間になっているのかというと、そうとも思えないので、やっぱり今でも夢の中に半分片足を突っ込んでいるんじゃないかと思う。
子供って、そんなものでいいと思う。
だから夢の中で生きている息子の行動を見ていると、そおれそおれ、もっとやれ、もっと夢の中で暮らして、その中で大きくなあれ、と思ってしまう。
実際、もしかすると、こういう子たちは本当に夢の中でずっと生きていくのかもしれない。そして時折仕事に引っ張り出されて、それでも正直だから真面目に仕事をして、夢の中に帰っていく、そんな生活をするのかもしれない。
それでいいと思う。
僕だって夢の中をふわふわしながら、ここまでやってこれたのだから。
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