第353話 「朝はゆめむ」




 美しい夢から醒めた後って悲しいし、切ないし、虚しくなるよね。

 三好達治も「朝はゆめむ」で同じことをいっている。


 ***


 ところもしらぬやまざとに

 ひまもなくさくらのはなのちりいそぐを

 いろあはきさくらのはなのひまもなくななめにちるを

 あさはゆめむ

 さくらのはなのただはらはらとちりいそぐを

 はらはらとはなはひそかにいきづきてかぜにみだれてながるるを

 やみてまたそのはなのはつかにちるを

 さくらのはなのかくもあはれにちるをゆめみしあさのゆめ

 めにさやか――

 またみづよりもしめやかにこころにしみてわすれがたかり

 わきてこはかやのすそはやひややかにほにふるる

 うらぶれしあきのあさなれば

 ゆめさめてわれはかなしむ

 ゆゑしらぬとほきひのなげかひのいやとほきはてのなごりを


 ***


 これは秋の詩だけど、わ~私だけじゃなかったんだ、と謎の安心感。

 桜の下で舞い落ちる花びらをかぶって窒息したかったよ……なーんて中二なことを考えつつ、せんなき現実に今日も向き合うのだ。

  

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