第317話 ことばがたりない




 人に送るメッセージカードを書いていたら、次から次へと言いたいことが溢れてきて、とてもじゃないけど5センチ四方のカードには収まらないことに気づく。

 しかも書き始めたあとにぶわっと溢れてきたものだから、ありきたりな文言のあとにとってつけたような言い訳ばかりが並んでしまった。

 下書きをするべきだったな。そう思ってもあとの祭り。

 仕方ないので、裏面にもつらつらと書いた。いくら書いてもことばが足りない。

 自己満足の嵐が尽きない。困った。綺麗な紙面が文字で真っ黒。


 あなたが生まれて良かった。私はあなたに出会えて良かったよ。

 ただそれだけなんだけどね。


 それだけ書いたら「何のポエム?」と笑われそうだから、必死に花とか紙の輪っかとかで飾りつけるわけ。

 シンプルにいきたいと思っても、無駄にごちゃごちゃさせちゃうわけ。

 要するに照れくさいだけ。


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