第305話 「寒中の木の芽」




桜の開花予報を楽しみに、内村鑑三の「寒中の木の芽」などを読んでみる。


***


一、春の枝に花あり

  夏の枝に葉あり

  秋の枝に果あり

  冬の枝になぐさめあり


二、花散りて後に

  葉落ちて後に

  果失せて後に

  芽は枝にあらわる


三、嗚呼ああ憂に沈むものよ

  嗚呼不幸をかこつものよ

  嗚呼冀望きぼうの失せしものよ

  春陽の期近し


四、春の枝に花あり

  夏の枝に葉あり

  秋の枝に果あり

  冬の枝に慰あり


***


身体と心に染み入る春の光。まさに春陽の期近し。

一年で一番美しい時期がやってくる。

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