第235話 アウトプットしてしまったらインプットするだけ




 何もないな、空っぽだな……と思う時は、自分の中にあった知識なり興味なり情熱なりが出尽くしてしまったのだろう。

 ひとしきりがっかりして落ち込んだ後は、またインプットすればいい。

 ニュース、読書、演劇、音楽、歌、食事、人との会話……。

 出してしまったら出してしまった分、もしくはそれ以上の情報をまた入れなくてはいけない。

 入れた情報を元にして、混ぜたり、圧縮したり、はたまた削除したりしてまた外に出す。

 延々その繰り返し。


 結局、表現も等価交換なのだ。無から有は生みだせない。

 それができたのはおそらく宇宙の始まりくらいのもので、私は外界から摂取し続けないと精神が干からびて死んでしまう。忙しい。疲れる。考える。疲れる。

 でも、どんなに苦しくても足を止めてはならない。せめて、身体が動くうちは、決して。

 強迫観念のごとく、己を急かしていられるうちが華だろうから。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る