第166話 不徳のいたす限りでございます
行きたい舞台のチケットがまたもや落選だった……!
大人気の舞台なので、先行抽選で当選しなかったら、もう入手は不可能だと思う。
一般発売は転売ヤーがプログラムを組んで根こそぎ持っていくのでまず無理だし、チケットの発売開始時間に家にいないことも多い。
なので、とにかく先行抽選に当たるようにと、願いだか祈りだか怨念だかを込めているのだが、物欲センサーが強すぎるのかまず当たらない。
ところが、どんなに抽選倍率が高かろうと世の中には一人で何枚も当てる猛者もいる。
いや、本当に……いるのだよ。強運の持ち主が。不正をしているわけでもないのに、千秋楽のチケット連番で4枚当選とかもう意味がわからない。
この人は前世でどれだけ徳を積んだのかと思う。
運だからと言ってしまえばそれまでだが、チケット1枚とってみても運力の差は残酷なものである。(関係者、株主、その他権力者などは除く)
なので、私も幸運に恵まれるよう、日頃から徳を積まねばならないと感じている。
徳、徳、徳……善行を為さねばならぬ。圧倒的に徳が足りないのだ。
ああ、でもできることなら来世の徳を前借りして今使いたい!
……と思ったところで、いやいや、どうせ私のことだから、前世の私が来世の徳を使い込んだせいで、今こんな惨状になってるんだな……と諦めの境地になった金曜日の午後。
何にしても、不徳のいたす限りでございます。
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