第107話 いざ書き始めたら、当初予定していたことと違うことを書いてしまう(物書きあるある?)




 物書きあるあるなのかどうかはわからないが、いざ書き始めると当初の予定とは違うものを書いてしまうことがよくある。

 このエッセイもそうで、およそ8~9割の内容が書き始める直前で変わる。本当に直前で変わる。

 それはその日に会った印象深い人や、直前まで観ていたテレビの影響もあったりするが、結局はその時その瞬間の気分である。

 その場の勢い、ノリで書いていることも多々ある。

 書かないとどうなるかわからないのはギャンブルのようだが、しかしギャンブルというなら読者の方がよほどギャンブルだろう。

 いくら無料とはいえ、いざページを開いて読まないと面白いかつまらないかわからないのだから。


 言い訳がましいが、別にネタに困っているわけではない。

 パソコンの前にはネタ帳(といってもメモ帳や付箋に手描きで書いたメモ)があって、このエッセイで書こうと思っている項目がびっしりと並んでいる。

 一応、優先度が高い順に並んでいるが、上から順に書いた試しがないので、自分で言うのもなんだが信用ならない。

 いわく、ネタをざっと書き出してみると


 ・友人から聞いた「さしすせそ」「たちつてと」以外の会話術

 ・時々無性に読みたくなるが、読むと決まって鬱になって後悔する太宰治の鬱小説の感想

 ・電車の中で見かけた男子中学生と、上橋菜穂子さんの「鹿の王」の感想

 ・焼肉の帰りに通りがかった谷中霊園でのホラー体験(天狗と遭遇?)

 ・知人にお金を貸した話(菊池寛のエッセイに大いに同意しつつ)

 ・大量の三つ葉をもらって必死に料理していたら、三つ葉料理にハマる

 ・日光で食べた四代目徳次郎の天然氷のカキ氷が美味すぎた

 ・疎遠になっていた友人知人がやけに会いたがってきたら、100%宗教か胡散臭い投資話(実例3つほど)

 ・少し前に巻き込まれそうになった大規模詐欺事件と民事裁判の結果


 などなど。

 書き始めてから「あ、これはもうちょっと調べなアカン」と思って途中で書くのをやめることもあるし、書いてよいのか駄目なのか判断がつかず「あ、何かあったら嫌だし、保身のためにもやめとこ……」と放棄するものもある。

 誹謗中傷や批判でなくても、登場人物が故人だったりすると尚のこと難しい。

 ぼかして書いても、わかる人には誰のことかすぐにわかってしまう。

 結局、自分のどうでもいい日常や妄想を書いているのが一番無難である。



 今回もほんの数十分前までは会話術のことを書く気でいたのに、どうしてこんな内容になったのやら……? 自分でも本当にわからない。

 しかし、一つだけ確かなことは、内容をぼかしはしても嘘は書いていないし、今後も書くことはない。嘘は嘘らしく、フィクションで盛大につきたい。



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