第23話 まどろみの雨音
無音じゃないと眠れない。静かじゃないと眠れない。
テレビをつけっぱなしにして寝る人がけっこういるけれどとんでもない。
そんなことは生まれてこのかた一度もしたことがない。
車や電車の音もだめだし、些細な話し声も気に障る。
自分でも神経質だなと思う。
朝、ザアザアという音が聞こえてきて雨が降っているのがわかった。
五月の終わり。梅雨の前触れ。真っ暗だった視界がぼうっと灰色に霞んでゆく。覚醒が近い。まぶたを差す光は感じられなかった。雨ゆえに空は曇っているのだろう。
目は開けなかった。雨音を聞きながらじっとしていたら、また心地よい眠気がゆるゆると襲ってきた。安寧の闇に沈んで、また外の雨音にいざなわれては浮上する。浮かんだり沈んだりを繰り返しながら、まどろみの雨音に搖蕩う。
ああ、今日はベランダの鉢植えに水をやらなくてもいいなあ……なんて思いながら、のんびり寝返りを打った。雨音は、強くても弱くても私の眠りをさまたげない。
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