第20話 ながら作業でできない唯一のこと
「ながら作業」が好きである。
一番多いのはテレビを観たり、音楽を聞きながら家事や作業をすること。
これは100%母親の影響である。
母は毎日仕事から帰ってくると、いつもながら作業で家事をしていた。昼間は働いているので家にいない。家事とは夜にまとめてするものであり、ゴールデンタイムの歌謡ショーやニュースやドラマを観ながら料理をし、洗濯物をたたみ、アイロンをかけ、裁縫をしていた。CMに入ると物を取りにいったり、台所の煮物を見にいったりで忙しなく動いていた。一つのことに集中するのではなく、二つ、三つのことを同時平行でこなした。それが当たり前だった。
私には、このながら作業はとても合理的かつ精神衛生上も良いことのように思えた。
ながら作業であれば、家事というやらなければいけない(面倒なこと)も、そう憂鬱にはならない。
手を動かしながら、目や耳は娯楽を味わえるし、時間の短縮になる。
一年は365日、一日は24時間しかないのだ。
限られた時間を有意義に使うなら「ながら」が一番。
なので、母親の行動をそっくりそのまま真似た。
現在も、家事は大体ながら作業である。
家事以外にも、テレビ番組やDVDを観ながら別画面でゲームのレベル上げをしたり、CMに入ると膝に置いた読みかけの本や漫画を読んだり。
音楽を聞きながらお風呂に入ったり、電話しながらネットを見ていたり(これは電話の内容に関係して調べものをしていることが多いが)。
ところが、日々の生活で唯一ながら作業できないものがある。
それは書くこと。「書きながらホニャララする」ができない。
仕事だろうが趣味だろうが文筆だけは、どう頑張ってもながら作業ができない。
別に「ながらじゃ、いいものは書けない」と豪語したいわけではなく、執筆を神聖視しているわけでもなく、集中するために情報を遮断しているわけでもない。
どう足掻いてもできない。色々試したけど、やっぱりできない。
周囲の物書き仲間は、「音楽を聞きながら書く」「酒を飲みながら書く」人がとても多い。
むしろ、そうしないと落ち着かず、書けないと口を揃える。
私はできないゆえに、みんな器用だなあ……と羨ましく思う。
自分も切実に「ながら」で書けたらいいなと思う。
どうしてそう思うのかは、次回にでも。
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