15.感覚モダリティ - 「共感覚なう」を表す言葉
センター試験レベルまでは大丈夫だったけれど、大学の二次試験レベルはしんどかった。受験勉強のとき、私よく「頭が痛い」って言ってたの。本当は頭が痛いんじゃなかった。共感覚の色が眩しくて辛かったのよ。でも私は共感覚という言葉も知らなかったし、この苦しさを表現する言葉が分からなかった。だから「頭が痛い」と思い込んだ。
あれね。小さい子供が不機嫌なとき、空腹でもないのに「おなかすいたー!」ってぐずったりするじゃない? 同じだと思うわ。他に表現を知らなかったのよ。
今は表現を知っているかって?
まだ知らないわね。日本語でこの苦痛を表現する単語は無いんじゃないかしら。たぶん。共感覚がしんどいとしか言いようがないわ。
でもこの状態。自分の苦痛を表現する単語が見つからない状態のことね。共感覚に限ったことじゃないと思うわ。
例えば、そうね、神経痛はお持ちかな? 頭痛の経験は? 腹痛は? 今そこの芝生で子供が転んだけれど、打ち身や切り傷の経験はある? 優しい風が吹いているけれど、風が傷にしみた経験はあるかな?
で、これらの痛みって全部違うわよね。みんなズキズキやヒリヒリを付けて差別化しながら「痛い」って言うけれど、本当は「痛い」などでは括れない全く別の感覚だと思わない? 目を閉じて、身体の感覚を研ぎ澄ませてみて。お腹と切り傷、ほんとうに両方「痛い」?
「痛い」を辞書で引くと「外力・病気で肉体や精神が苦しい」と出るわ。「痛い」は感覚を表す言葉じゃなくて、状態を表す言葉なのね。
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