54.メンクイ - 共感覚は外見
今思い出しても検査シュールだったし大変だったなぁ。
何より電車で東京まで通わなきゃいけないのが大変だったわね。まぁ、他に診られる場所がないのだから、仕方ないのだけれど。関東圏で巡り合えただけ幸運なのだけれど。
これで本当に暮らしが楽になるか分からない、ってあたりが大変さを助長していたかな。どんな病気も同じだと思うけれど、先が見えないと病院つらいよね。病院に限らないかな。予備校とか大学もそうかしら。
おお、エビマヨのご到着ね。待ちわびたわ!
大振りぷりぷりのエビをサクッサクに揚げたフリッター。そこに絡む濃厚なマヨソース。脂ぎった口を洗うレタスの爽快。たまらないわ~。
このマヨがまた、ただのマヨネーズじゃないのよ。ほんのり辛くて、旨味が効いてる。何を混ぜているのかしらね。エビ肉の甘味を引き立ててもうほんっと最高。
……あなた、素敵な声の色をしているわね。カフェインが切れて、見えてきた。あなたのこと好きになれそう。
急に変な話になっちゃったね。
洞峰公園で、声の色の話をしたじゃない?
私にとって声の色は、会えば必ず見えるもの。顔や服と同じものなのよ。その人の印象を大きく左右する。
いい人なんだけれど、外見がちょっとなぁ……ってこと、あるよね。それと同じように、いい人なんだけど声の色が嫌で話したくない人もいるんだ。
例えば、大学の女性の先輩。本当に可愛くて素直で素敵な先輩だったんだけれど、声が強烈なビカビカの青でさ。声を聞いているのが精一杯、内容なんて聞いてないみたいな状態になっちゃって。避けるうちにその先輩が来るサークル室すら行かなくなっちゃった。みんないい人たちだったのに、惜しいことしたなぁ。
逆ももちろんあるよ。声の色が魅力的で、どうしようもなく惹かれてしまうこと。
ああ、こっぱずかしい話になりそう。うあああ。
こんな人多いところじゃ何だから、食べ終わって外出てからにしよう。ううん、車に入って密室になってからにしよう。万が一知り合いに聞かれたら困る。
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