52.組み合わせ最適化 - 続・レンズ色選定
「ちなみにこれ、何枚まで続くんですか」
試しに聞いてみると、スタッフさんは申し訳なさそうに微笑んだわ。
「これ以上読みやすくなる色がなくなるまでです。十枚以上重なった人もいますね」
なんかもうそれ目に当てるだけで大仕事では。
桜色を選んだからといって桜色が候補から外れるわけでもなく、同じ色をまた重ねたりもしたわ。より濃い色になることで読みやすくなることもあるみたい。
桜色の次に選ばれたのは、菜の花色のレンズだった。菜の花色のレンズの上には、若草色が重なった。どんどん春色が合成されてゆく。
試しながら私はあることに気付いたの。青と紫は、必ず読みづらい。目に当てると痛みすら感じた。色によって痛みを感じるって、伝わるかな。正確には痛みではない感覚なのだろうけれど、うーん。配色がトンデモなWEBページを熟読するときの苦痛が近いかしら。
三枚重なったところで、あとは後日ということになったわ。かなり精神に負担がかかるから、無理すると帰りに倒れちゃう人もいるんだって。
その頃はまだ実家に住んでいたの。
家に帰った私を待っていたのは、青いカーテンの部屋。蛍光灯の光がカーテンで反射し、うっすら青く染まった部屋。私が痛いと感じる色の……。
この家ではもう暮らせないなって、思った。
ん、話しながら完食しちゃったわね。まだ足りない? けっこう食べるのね、あなた。
私もちょっと物足りないし、もう一品頼みましょうか。
お肉を食べたからご飯もの、と言いたい所だけれど、ここの炒飯は超山盛りだから食べきれる気がしないわ。またおかず系いきましょ。
エビマヨ! エビマヨにしましょ!
ここのエビマヨすっごく美味しいの。中華でエビマヨって奇妙な感じだけれど、揚げもの好きな人なら病みつきになると思うわ。
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