50.カラーレンズ - 診断結果
そんなこんなで、いろいろな検査をしてね。端折ってごめんね。さっき言った通り、情報をばら撒いて検査の邪魔になったらいけないから。
それで最終的に「アーレン症候群の可能性が非常に高い」と言われたわ。この曖昧な言いかたは、医師ではないという制約があるからなのかな。
それで「こんなに我慢していて、つらかったですね」って言われたの。
まぁ、そうやって慰めるのが心理士の仕事だもんねー。って苦笑してたら「いやマジで」って真顔になられたわ。
実際つらかったのかって?
……どうだろうね。
でもこのとき……。ううん。今はいいや。
「アーレン症候群の可能性が高い」って話のあと、私の検査結果を見て「アーレンレンズで読みが改善される可能性がある」って話もしてくれたの。アーレンレンズの説明もその時されたわ。色つきの特殊なレンズで、一人一人オーダーメイドで最も読みやすい色に調整するってこととか。レンズの作成は海外のメーカーしかできないし、眼鏡に加工するのも一握りの眼鏡屋さんしかできないこととか。
読みが改善されるって聞いて、喜んでアーレンレンズの作成をお願いしたわ。レンズの色を決める検査をするから別な日にまた来てくださいって言われて。
レンズの色を決める検査、その時はまだどんな検査か知らなかった。だから軽々しく返事したのだけれど、ふふふ。甘く見てたわ。
再診の日、私は小さな個室に案内されたわ。カウンセリング用の個室なのかな。とっても狭い部屋。一緒に入ってきたスタッフさんは大きなアタッシュケースを机に置くと、それを開いて見せた。
中身は全部レンズだったわ。透明から黒から、赤から紫まで、濃淡さまざま。全部違う色のレンズが、ぱっと見100枚以上。
「綺麗ですね」
箱にガラスの虹が詰めてあるみたいで、私は思わずそう言ったわ。するとスタッフさんは軽く苦笑いした。
「今からこのレンズがあなたを酷い目に遭わせます」って。
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