37.骨伝導 - 自分の声の色
え? 外の話ばかりだけど自分の声はどうなのかって?
自分の声も、色あるよ。白。ほとんど光じゃないかな。
話している間は白で視界が消し飛んじゃうから、話しながら何かするのすごく苦手だったねー。今はだいぶ慣れたけど、他の人と同じようにできている自信はないな。
考え事の内声、まんま内なる声のことね、でも白くなっちゃうことがあるよ。子供の頃はよく「ボーっとしてる」って評価を受けたわね。ボーっとしてるというか見えてなかったんだけど。もしくは視界が奪われぬよう黙考を抑える癖でもついていたのかしら。
自分の声は嫌いじゃないわ。自分で聞いている限りはね。
録音した自分の声って全く違くて驚くじゃない? 私も驚いた。桃色なんだもん。ガラじゃないわ、勘弁してくれって感じ。
それに胸式で呼吸してるから浅いのなんの。
話していてお察しかと思うけど、歌は苦手なのよね。大きな声を出すので手一杯で、音程や音色を整えるところまで行けないの。カラオケはリア充コミュニケーションの代名詞なのに困ったもんだわ。
私なりにグレた結果、カラオケにはリコーダーを持ち込むことにしたわ。
音楽の耳コピーが得意って話、したじゃない? そう、耳コピーした曲を吹くのよ。指使いやリコーダーの音域や聞き取れる声質の関係上、まだ十曲くらいしかレパートリーないけど、その場を凌ぐには充分な数だわ。
当然ウケ狙いよ。
私、けっこうプライド高いからね。同じ土俵で傷付くくらいなら自分用のお立ち台で笑われるの。ふふふ。
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