12.ドレミ記譜法 - 音程の色

 この公園、芝でギター弾いてる人もたまに見かけるのよ。歌っている人も。すごく良い雰囲気よ。水面のきらめきを背負って。

 で、ドレミの、音程の色だっけ。うん、そうね。

 音程の色は、ドが赤。レが黄。ミが緑。ファが橙。ソが水色。ラが紫。シが桃みの紫。……。同じ年齢でピアノ習ったことあるなら、気付いたかもね。そう。ヤマハの教材についていた色なのよ。

 ピアノは2歳から習ってたの。目で見たデザインにすぎなかった色が、私の中で音に結びついて固定してしまったみたい。物心ついたときにはもう、音を聞くと強制的に色が見えるようになっていたわ。私の共感覚体質と音楽教育の相互作用で絶対音感が作られたんでしょうね。

 音色に邪魔されて見えないときもあるし、体調や他の音の影響受けやすいから、あんまり大きな声で絶対音感とは言えないけれど。

 こういう学習で得た共感覚のこと「真性の共感覚じゃない」ってエッセイに書いてる人もいたけど、特に理由はないみたい。症状が酷いほど地位が高いタイプの難病患者会みたいで不愉快な本だったなぁ。

 私は私の世界を面白く思ったから解説する。自分の考えを整理するために話してる。誰かを「お前は共感覚じゃない、アーレン症候群じゃない」って断じることは絶対にしないわ。そういうのは専門家が研究の邪魔された時だけ、やればいいからね。


 ちなみにシャープやフラットの音は、近くの音が濁ったザラザラの色に見える。濁るって漠然としすぎかな。絵を描く趣味があるなら「透明度70くらいの灰色レイヤーをかけて解像度落としたみたいな」って感じかな。相変わらず上手く言えないや。

 でも灰色を重ねたらもはや違う色ともいえるわよね。うーん。

 全盛期は色でピッチのズレも判定できたけれど、今は無理。吹奏楽部から離れたからか、歳を取ったせいかは分からない。

 うん、そうそう。吹奏楽部だったのよ。担当は打楽器。打楽器じゃ音の色は関係ないんじゃないかって? そうでもないんだなー。

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