第263話 【羽月視点】わたし、お兄ちゃんの髪と背中、洗ってあげたいの
「ふ~…さっぱりした」
あ、お兄ちゃんがお風呂から上がってきた。
お風呂から上がってきたお兄ちゃん、ほんのり赤くなってるお肌もすっごく綺麗…
ヘアゴムも外してて、腰の下まで真っすぐに伸びてる髪の毛も、つやっつやで変なクセもなくてすっごく綺麗。
男の子なのにこんなに艶っぽいなんて、ほんとに反則。
わたしもお兄ちゃんとそっくりな顔だから、すっごい美少女ってよく言われるけど…
わたしから見たら、お兄ちゃんの方がほんとに美少女って感じだもん。
男の子なのに、顔なんかすっごく可愛くて、TVかインターネットに出ててもおかしくないくらいの美少女だし…
性格もすっごく優しくて世話焼きで、お母さんみたいで…
でもすっごく恥ずかしがりやで、控えめで…
そんなお兄ちゃんが、だあ~い好き♡
「さ、仕事仕事!」
「あ…」
でもお兄ちゃん、今すっごく忙しいの。
だって、学校行って家事全部して保育園のアルバイトもしてるのに…
最近、幸介おじいちゃんと誠一おじいちゃんからい~っぱいお仕事お願いされちゃってるんだもん!
だから、ご飯とお片付けとお風呂が終わったら、すぐに自分のお部屋行ってお仕事始めちゃうの。
お父さんも、誠一おじいちゃんの会社のキャンペーンがものすごく売れてるから、その影響でお仕事すっごく忙しくなっちゃってるし。
でも、お兄ちゃんもお父さんもす~っごく楽しそうな顔しながらお仕事してるから、やっぱり二人の性格って似てるって思っちゃう。
お兄ちゃん、本物の女の子でも羨ましくなっちゃうくらい見た目も中身も美少女なのに、自分が男の子っていう意識はすっごく強いから…
そういうところも、お父さんの影響かなって思っちゃう。
まったく…
二人共、こんなにい~っぱい忙しくて、疲れたりしないのかな?
「…でも…わたし…」
でも、わたしが家事全般すっごく苦手なせいで、いつまで経ってもお兄ちゃんのお手伝いも満足にできないから、お兄ちゃんがめっちゃくちゃ忙しいのに…
お兄ちゃんを手伝うこともできないの。
お兄ちゃんのお仕事、パソコン使ってすっごく難しいことするお仕事だから…
パソコンとか機械が苦手なわたしには絶対に無理だもん。
だから、家事だけでもお手伝いしたいのに…
お父さんがたまに一緒に家事して、わたしに教えてくれるんだけど…
なんでかな?
どうしても上手くならないの…
前にお兄ちゃんのお手伝いしようとして、わたし手に大怪我しちゃったことがあって…
そのせいでお兄ちゃん、わたしに家事させてくれなくなっちゃったし…
お兄ちゃんがわたしのことす~っごく大事に思ってくれてるっていうのは、その時す~っごく分かっちゃったから、めっちゃくちゃ嬉しかったんだけど…
でも、やっぱりわたしも女の子だから、せめてお料理の一つくらいはできるようになりたい!
でも、最近はお兄ちゃんもお父さんも忙しすぎて、わたしに家事を教えてくれる時間なんて取れない。
それどころか、お兄ちゃんも人付き合いすっごく多くなっちゃったから…
お休みの日もどこか出かけたり、お外行って何かすることすっごく増えちゃった。
それでも、家事全部ちゃんとこなしてからお出かけするし、どうしても無理な時は帰ってきてからするから、ほんとにすごいって思っちゃう。
そんなお兄ちゃんを見て、お父さんなんか――――
――――羽月…俺は会社の人達にい~っぱい仕事ができて凄い、ってよく言われるけど…それは涼羽が家の事も全部してくれて、俺が仕事に集中できるようにしてくれてるからなんだ――――
――――なのに涼羽は、秋月保育園からも、おじいちゃん二人からもすっごく頼りにされて、い~っぱい仕事もこなしてる…その上、学校もちゃんと行って成績も優秀で誰からも信頼されて好かれてる…パソコンもそれを使うだけの俺なんかより、パソコンで動くものを作れる涼羽の方が遥かに凄い…だから俺なんかより、涼羽の方がよっぽど凄いんだ――――
――――って言ってて、すっごくお兄ちゃんのこと頼りにしてるの。
お兄ちゃんが頼りになるのって、わたしはず~っと前から知ってたし、ず~っとわたしはお兄ちゃんに頼りっぱなしだったもん。
だから、わたしもお兄ちゃんをお手伝いしたい!
お兄ちゃん、今はお家でお仕事してるから、寝る時間も遅くなっちゃってるし…
なのにわたしのこと、邪険にしないでちゃんと相手してくれるし…
我慢できなくてわたしが先に寝ちゃったら、ちゃんとわたしをお布団に運んでくれるし…
なのにご飯とかお弁当作るから、一番早く起きちゃうし…
お兄ちゃんに甘えるのす~っごく好きだから、それはやめないんだけど…
でも、お兄ちゃんばっかり忙しくて…
お兄ちゃんばっかり大変なのは、やっぱり嫌!
お兄ちゃんはい~っつも――――
――――う~ん…忙しいのは確かなんだけど…でも、俺は羽月のことい~っぱいお世話したいよ?――――
――――羽月が学校とか、友達と遊んだりするのとかで楽しんでくれたら、俺はそれが一番嬉しいよ?――――
――――って感じだから…
それはそれでお兄ちゃんが優しくて、わたしのこと大切にしてくれてるって分かるから、もっともっとお兄ちゃんのこと大好きになっちゃうんだけど!
でも!
わたしもお兄ちゃんと一緒に、お兄ちゃんのお手伝いできたら…
今はそれが一番嬉しいの!
だってその方がお兄ちゃんとい~っぱい一緒にいられるから!
お兄ちゃんのこともっと笑顔にしてあげられるから!
「……!そうだ!」
わたしでもすぐにできそうなお手伝い、思いついちゃった!
よ~し!
明日、お兄ちゃんにしてあげよっと♡
お兄ちゃん、喜んでくれるかな?
――――
「さて…ご飯も片付けも終わったし、お風呂入ろっと」
今日もお兄ちゃんのご飯、美味しかった~♪
いつもこ~んなに美味しいご飯食べられて、わたしほんとに幸せ♪
…って、気が付いたらお兄ちゃん、もう後片付けも終わらせちゃってる!
お兄ちゃん、ほんとに何しても早いんだから!
「あ、羽月はお風呂、どうする?先に入りたい?」
お兄ちゃん、いつもお風呂入ろうとしたら、わたしに先に入りたいか確認してくれるの。
そんなさりげない気遣いをいつも、当たり前のようにしてくれて…
ほんとにお兄ちゃん、優しい。
「ううん、お兄ちゃんが先に入って」
「いいの?」
「うん」
「分かった、じゃあ先に入らせてもらうね」
お兄ちゃんはお仕事もあるから、先に入ってもらった方がいいもん。
だから、お兄ちゃんのそんな問いかけにはいつも、こう返すの。
さ、わたしも準備しよっと♪
――――
「…お兄ちゃん、お風呂に入ったね」
お兄ちゃんがお風呂に入った直後を狙って、わたしは追いかけるように脱衣所に入ってく。
ご機嫌そうなお兄ちゃんの鼻歌が聞こえてくる。
お兄ちゃん、お風呂大好きだから、お風呂に入れるだけでご機嫌になっちゃうもん。
わたし、お兄ちゃんの長くて綺麗な髪を洗って、背中を流してあげたいの。
だから、お風呂入ってるお兄ちゃんのところに来たんだから♪。
一応、濡れてもいいようにわたしも学校で授業の時に使ってる、紺色のスクール水着に着替えてる。
ほんとは裸がいいんだけど、お兄ちゃんに『そんなはしたないことしちゃだめ!』って怒られちゃうから…
いきなり入ってもお兄ちゃんに怒られちゃうから、わたしはお兄ちゃんが入ってるお風呂のドアにノックしてから、声をかけちゃう。
「お兄ちゃん♪」
「?羽月?どうしたの?」
「わたし、お兄ちゃんの髪と背中、洗ってあげたいの」
「!?え!?」
あ、お兄ちゃんすっごく驚いちゃってる。
前にわたしが一緒にお風呂入ろうとした時、すっごく慌てて…
『そんなことするなら、もう甘えさせてあげない!』なんて言って、めちゃくちゃ抵抗してたから…
でも、わたしだってお兄ちゃんの為に何かしてあげたいもん。
だから、絶対に引かないんだから。
「そ、そんなのいいよ…俺、一人で洗えるし…」
「だめ。わたしだってお兄ちゃんの為に、何かしてあげたいんだもん」
「だ、だからってこれは…」
「お願い、お兄ちゃん……だめ?」
やっぱりすっごく抵抗してくるお兄ちゃん。
お兄ちゃん、その綺麗なお肌見られるのすっごく嫌がってて…
お兄ちゃんが服着替えてる時に鉢合わせたりしちゃったら、すっごく恥ずかしがってうずくまっちゃうもん。
お兄ちゃん、ほんとの女の子よりすっごく恥ずかしがり屋さんで、めっちゃくちゃ可愛いの。
わたし、そんなお兄ちゃんが大好きで大好きでたまんないんだもん。
「!~~~~…………ず、ずるいよ……」
「?え?何が?」
「……そ、そんな風に言われたら…俺…嫌って…言えなくなっちゃう……」
もう、声だけでお兄ちゃんがめっちゃくちゃに恥ずかしがって…
でも、妹のわたしがこんな風にお願いしちゃってるから、嫌って言えなくて…
それだけで、あの可愛い顔真っ赤にして恥ずかしがってるの、すぐに分かっちゃう!
なんで声聞いてるだけで、こんなにも可愛いの?
ほんとにお兄ちゃんって、めっちゃくちゃ可愛い!
わたし、お兄ちゃんの妹でほ~んとによかった!
ほ~んとに幸せ!
「お兄ちゃん!わたしがい~っぱい、お兄ちゃんのこと綺麗にしてあげる!」
わたしはもう我慢ができなくなっちゃって…
すっごい勢いつけて、お風呂の中に入っていっちゃった。
「!!ひゃ、ひゃっ!!」
湯気でちょっと視界が見えにくくなってるけど…
すぐにお兄ちゃんが出した可愛い声の方に向いたら、お兄ちゃんが背中向けて…
すっごく恥ずかしそうに俯いちゃってるの。
腰の下まで伸びちゃってる、お兄ちゃんの綺麗な長い黒髪。
それが、お兄ちゃんの華奢な背中ぜ~んぶ隠しちゃってる。
お風呂に入ってるから、服なんてなんにも着てなくて…
いつもはぜ~んぜん見れない、お兄ちゃんの透き通るように白い、すべすべで綺麗なお肌。
腰なんか綺麗にくびれててすっごく細いし、お尻もぷりんってしてて綺麗な丸み帯びてる。
肩も小さくて丸くて、なで肩でほんとに綺麗。
後ろから見えてる耳たぶが真っ赤になってるのって、お風呂に入ってるからだけじゃないって、すぐ分かっちゃう。
「…は…羽月……」
「!なあに?お兄ちゃん?」
「…は…」
「?は?」
「…恥ずかしいから…あんまり…み…見ないで…」
…なに?
なにこれ?
なんなのなんなの?
お兄ちゃん、どんだけ可愛かったら気が済むの?
ほんと!
お兄ちゃんが可愛すぎてたまんなくなって…
わたし、お兄ちゃんの露わになってる背中に、べ~ったり抱き着いちゃった♡
「!!ひゃ!!は、羽月だめ!!俺今裸なんだから!!」
「だあめ♡お兄ちゃんが可愛すぎるのがいけないんだもん♡」
「だ、だめだめ!!こんなのだめ!!だめなの!!」
「やだ♡お兄ちゃんの裸、綺麗すぎてうっとりしちゃう…こんな綺麗なのに見せてくれないなんて、わたし拗ねちゃうよ?」
「は、恥ずかしい…そ、そんなこと言わないで…」
スクール水着を通して、お兄ちゃんのお肌の感触をわたしの身体で感じちゃう…
もお、溜息出ちゃうくらい綺麗。
男の子なのに柔らかで、すっごく抱き心地いい♡
「お兄ちゃん♡この綺麗な背中と髪の毛、わたしがい~っぱいキレイキレイしてあげるね♡」
こんなに綺麗な背中と髪をわたしの手で綺麗にできるなんて。
これって、めっちゃくちゃごほうび♡
わたし、お兄ちゃんが使おうとしてた、ボディソープのついたタオルをお兄ちゃんの手から取って、めっちゃくちゃ大切な宝物を扱うみたいに、お兄ちゃんの背中を洗っていくの。
「!!ひゃっ!!……」
「お兄ちゃん、痛かった?」
「う、ううん…大丈夫…」
「よかった。じゃあ続けてくね?」
「う、うん…」
わたしが背中流し始めたからか、お兄ちゃんもさすがに抵抗しなくなっちゃった。
でも、耳まで真っ赤にしちゃってるのが丸わかりだから、めちゃくちゃ恥ずかしいのはそのままってことだよね♡
もお~、お兄ちゃんってほんっと可愛い♡
「ん……んっ……」
わたしがタオルで優しくごしごしする度に、お兄ちゃんの声が出ちゃってる。
びくびくしながら、それでもわたしに背中流させてくれるお兄ちゃん、優しい♡
「お兄ちゃん、どお?気持ちいい?」
「う、うん…力加減もちょうどいいよ…」
「よかった♡こ~んなに綺麗なお兄ちゃんの背中、傷つけたくなんかないもん♡」
お兄ちゃんの背中流すの、すっごく嬉しいし、すっごく楽しい♡
わたしの手で、お兄ちゃんが綺麗になってくって思ったら、なんだかすっごく嬉しくなってきちゃう♡
「は…羽月…ありがとう…もういいよ…あとは自分でやるから…」
一通り背中流し終わったら、お兄ちゃんがこんなこと言ってきちゃう。
でも、だあめ。
「お兄ちゃん、まだ髪の毛が終わってないよ。髪の毛もわたしが綺麗にしたげる♡」
「も、もういいってばあ…」
わたしは弱弱しくいやいやしてくるお兄ちゃんの髪の毛に、お兄ちゃんとわたしが一緒に使ってるシャンプーを掌に出してから、それを伸ばしてつけて丁寧に洗ってく。
こんなにも綺麗なお兄ちゃんの髪なんだから、丁寧に丁寧にしなきゃ。
「お兄ちゃん、かゆいところとかない?」
「う…うん…大丈夫…」
丁寧にお兄ちゃんの頭も洗って、綺麗に汚れを落として…
シャンプーで泡立ったお兄ちゃんの髪にシャワーかけて、泡を落としていく。
で、今度はお兄ちゃんの綺麗になった髪に、両手で薄く伸ばしたコンディショナーを丁寧になじませてく。
…ほんとに女の子の髪、洗ってるみたい。
で、ある程度時間が経つのを待ってから、コンディショナーも落として…
うん!
つやっつや!!
「えへへ♡お兄ちゃんの綺麗な髪、わたしが綺麗にできてる…嬉しい♡」
大好きなお兄ちゃんをわたしが綺麗にしてあげられたって思ったら、お兄ちゃんのことがすっごく愛おしくなっちゃって…
わたしはまた、お兄ちゃんの背中にべったり抱き着いちゃった♡
「!!ひゃ、だ、だめ!!恥ずかしいから!!」
「えへへ~♡お兄ちゃんだあ~い好き♡」
お兄ちゃんと一緒にお風呂に入れて…
お兄ちゃんの背中、綺麗に流せて…
お兄ちゃんの髪、綺麗に洗えて…
わたし、すっごく嬉しい♡
お兄ちゃん、わたしまたお兄ちゃんのこと綺麗にしにくるから♡
またお兄ちゃんの綺麗な裸、わたしに見せてね♡
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